新学習指導要領へのアプローチ 第3回 「問題解決能力」を高める理科指導
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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Q4:理科の学習内容変更の意図と背景を教えてください。

A4「小中の一貫性」「内容の系統性」「国際的な通用性」です。現行の学習指導要領は、主に削減という操作があり、小中の学習内容を関連させる視点が弱くなりました。そこで、今回は学年をまたいだカリキュラムのスパイラル(反復)構造が強く意識され、小中の学習内容が関連付けられました。その結果、学習内容の系統性が保持されました。
 国際的な通用性についていうと、例えば、TIMSS調査(注2)などでは人体に関する内容が多く出題されています。人体に関しては、日本では保健体育で学習しますが、海外では理科に該当します。そこで、日本の学習内容を国際的なものとそろえるという点も意識されました。
 また、すべての子どもに学習内容を多く提供し、科学に対する興味や関心を高めようとした結果、選択単元はなくなりました。

関連
・学習内容や時数の変更について:P.13「2009年度以降の学年別指導内容」
・中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要項等の改善について」(答申)
注2:国際教育到達度評価学会(IEA)が実施している国際数学・理科動向調査。日本では小学4年生と中学2年生を対象に実施されており、学校のカリキュラムで学んだ知識や技能等がどの程度習得されているかを評価する

Q5:指導の方向性が同じなら、指導法は今までと変えなくてもよいでしょうか。

A5目指すべき力を確実に子どもに育成する指導ができているかという視点で、見直す必要があるでしょう。1990年前後から、「新しい学力観」が提唱され、知識の詰め込みではなく、子どもの主体的な学びが重視されるようになりました。これは、子どもの学習意欲を重視し、思考力、判断力、表現力などを学力の基本とする考え方で、今回の改訂でも踏襲されています。しかし、これまでの指導では、「主体性」が誤解され、「放任主義」に陥り、子どもの能力を育てきれていない状況も多く見られました。
 主体的に学ぶ力を付けるためには、まず、子どもが自ら問題や目標を見いだせる「認識のスキル」が必要です。そのためには、違いに気づくことが大切です。例えば、3学年の「電気の通り道」で、豆電球がついている状態とついていない状態を提示し、ただ「よく考えて」と伝えるのではなく、両者の事象の違いに気づかせることから、子どもが問題を発見して、それを追究することが主体的な学びとなります

Q6:「基礎的・基本的な知識や技能」については、どのような指導を心がけるべきですか。

A6:「基礎的・基本的な知識や技能」は、自然事象の性質や規則性、科学的な概念、観察・実験器具の名称やその扱い方などを指します。これらを子どもが習得するためには「繰り返し」が必要です。ただし、機械的に暗記させるのではなく、顕微鏡なら一緒に操作するなど、教師が操作の意味を説明し理解させながら覚えさせることが大切です。それが「実感が伴った」学習となります。  同様に、科学的な概念も、電流や電圧、磁石など、可能なものは日常生活に結び付けて教えることにより、理解が深まるでしょう。


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