携帯電話は周囲の目に触れにくいところでも使えることなどから、「究極のパーソナルツール」ともいわれる。小学生の所有率は、全体で見れば約3割(【1】)だが、性別や地域などによって差が生じている(同【1】【2】 )。更に、「携帯電話は必要か」「子どもに持たせるか」「持たせるとしたらどのように使わせるか」といった判断は、放課後の過ごし方や保護者の教育方針など、子ども一人ひとりの状況によって異なる。重要なのは、平均的なデータや手本となる取り組みを参考にしつつも、一律の指導ではなく、目の前の子ども一人ひとりに合わせた対応を心掛けることだ。
新しい学習指導要領には、総則に「(コンピュータなどの)基本的な操作や情報モラルを身に付け、適切に活用できるようにするための学習活動を充実すること」と示されている。これに伴い、道徳の「指導計画の作成と内容の取扱い」でも、「道徳の内容との関連を踏まえ、情報モラルに関する指導に留意すること」とある。新課程の先行実施で十分な時間を割くことは難しいかもしれないが、自校の実態に応じて、取り上げるべき内容の優先順位をよく考えた指導を工夫したい。
ただ、携帯電話を持たせるか、どのように使わせるかを最終的に判断するのは保護者だ。実際、子どもが携帯電話を使うのは主に学校外であり、連絡を取る相手は家族が中心だ(【3】)。携帯電話の所持や使い方は、学校だけで指導できることではないことを保護者に理解してもらい、子どものことを最もよく知っている保護者が、それぞれの家庭や子どもの状況に合った使い方やルールを話し合うように働き掛けることが、大切ではないだろうか。
小学生のうちは、中学生や高校生と比べて利用用途が限られ(【4】、【5】)、家族とのコミュニケーションが比較的取りやすい時期。今が、その絶好の機会と言える。
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