ベネッセのデータでみる子どもと教育 携帯電話の利用実態

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 7/7 前ページ 

 まとめ

保護者の協力を得て
目の前の子どもに合った対応を

 携帯電話は周囲の目に触れにくいところでも使えることなどから、「究極のパーソナルツール」ともいわれる。小学生の所有率は、全体で見れば約3割(【1】)だが、性別や地域などによって差が生じている(同【1】【2】 )。更に、「携帯電話は必要か」「子どもに持たせるか」「持たせるとしたらどのように使わせるか」といった判断は、放課後の過ごし方や保護者の教育方針など、子ども一人ひとりの状況によって異なる。重要なのは、平均的なデータや手本となる取り組みを参考にしつつも、一律の指導ではなく、目の前の子ども一人ひとりに合わせた対応を心掛けることだ。

 新しい学習指導要領には、総則に「(コンピュータなどの)基本的な操作や情報モラルを身に付け、適切に活用できるようにするための学習活動を充実すること」と示されている。これに伴い、道徳の「指導計画の作成と内容の取扱い」でも、「道徳の内容との関連を踏まえ、情報モラルに関する指導に留意すること」とある。新課程の先行実施で十分な時間を割くことは難しいかもしれないが、自校の実態に応じて、取り上げるべき内容の優先順位をよく考えた指導を工夫したい。

 ただ、携帯電話を持たせるか、どのように使わせるかを最終的に判断するのは保護者だ。実際、子どもが携帯電話を使うのは主に学校外であり、連絡を取る相手は家族が中心だ(【3】)。携帯電話の所持や使い方は、学校だけで指導できることではないことを保護者に理解してもらい、子どものことを最もよく知っている保護者が、それぞれの家庭や子どもの状況に合った使い方やルールを話し合うように働き掛けることが、大切ではないだろうか。

 小学生のうちは、中学生や高校生と比べて利用用途が限られ(【4】【5】)、家族とのコミュニケーションが比較的取りやすい時期。今が、その絶好の機会と言える。

【1】~【6】出典

「子どものICT利用実態調査」ベネッセ教育研究開発センター

調査時期は2008年9~11月、調査対象は公立学校の小学4年生~高校2年生で、有効回答数は合計10,267人(うち小学生は3,146人)。抽出法は市区町村の人口規模及び人口密度を考慮した有意抽出法

研修会や保護者会に役立つ!
携帯電話や情報モラル教育のお薦めウェブサイト

 

文部科学省
子どもの携帯電話等の利用に関する調査(速報)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/02/1246177.htm
◎保護者のかかわりの度合いが子どもの利用マナーに及ぼす影響や、学校における情報モラル教育の取り組みなどの最新状況が分かる


モバイル社会研究所[(株)NTTドコモ]
モバイル社会白書2007
http://www.moba-ken.jp/theme/whitepaper/whitepaper2007/whitepaper2007-content
◎携帯電話に関する児童・生徒からの相談内容など、教師のみを対象に行った調査結果もある。暮らしや文化、産業など幅広い視点から携帯電話をとらえたデータが興味深い


教材「みんなのケータイ」
http://www.moba-ken.jp/theme/kidsmobile/textbook
◎携帯電話に関する児童・生徒からの相談内容など、教師のみを対象に行った調査結果もある。暮らしや文化、産業など幅広い視点から携帯電話をとらえたデータが興味深い

社団法人日本PTA全国協議会
子どもとメディアに関する意識調査
http://www.nrsquare.com/pta/book_kodomotomedia_h20/
◎携帯電話だけでなく、ゲームやインターネット、漫画などメディア全般に関する子どもと保護者の意識が分かる


社団法人日本教育工学振興会
やってみよう情報モラル教育
http://www.kayoo.info/moral-guidebook-2007/
◎携帯電話やインターネットについて、使い方のルールやマナーだけではなく、日々の授業に取り入れたい便利な機能や実際の活用例、カリキュラムが多数掲載されている


総務省
第5回情報化社会と青少年に関する意識調査
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/jouhou5/index.html
◎利用のルールやフィルタリングサービスについて、子どもと保護者の考えの違いが分かる。それぞれのデータがダウンロードできる


※上記は2009年4月時点での情報です

次号予告
『生活時間』について取り上げます

   PAGE 7/7 前ページ