小学校では、「書く」指導を取り入れない自治体・学校も少なくないなかで、金沢市ではなぜ、「書く」指導を導入するのかにも、質問が及んだ。
「モデル校での研究期間中、何度か子どもたちに意識調査をしました。その際、『どんなことができるようになりたいか』を尋ねたところ、『英語が書きたい』『英語が読めるようになりたい』という回答が5割以上7割近くもありました。記述式の回答には、『英語の文字はかっこいい』というものもありました。子どもたちが英語にふれていくなかで、自然に文字にも興味を持っていく姿が見て取れました。6年生などでは、実際に、ピクチャーカードに書いてある英語の文字を頼りに、発話したり、理解したりしようとしています。ですから、聞く・話す・読む・書くは、何時からと明確に区切らず、段階的に取り組むのがよいと思うのです」(羽岡清美指導主事)
ただし、中学校での文字指導導入以上に、十分に時間をかける。学校によって多少差はあるが、概ね、次のステップを踏んでいるという。
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アルファベットの大文字を正確に書き写すことができるようにする |
(2) |
アルファベツトの小文字を正確に書き写すことができるようにする |
(3) |
単語を書き写す |
(4) |
2語文、3語文を書き写す |
(5) |
短い文を書き写す |
ただ、コラム1(泉野小学校)で後述するが、書く指導については、まだ現場レベルでは、悩みも多い。
「表記と発音がローマ字とは違うため、子どもには理解しにくく、いろいろな機会をとらえてふれさせないと身に付きません。デジタル教材を使って指導はしていますが、私たち教師も苦しんでいる最中です」(泉野小:長谷川雅子先生)と本音を吐露されていた。
なお、6年生で中学校の教科書を扱うとなると、当然、文法事項の学習も入ってくる。これについても、「自分でも英文をつくってみたい」という希望が出るタイミングをとらえて扱うのだという。
「6年生くらいになると、例えばこんなことを言いたいけど、単語をどのように並べたらいいのだろうという疑問を持つようになります。実際、授業中、『机にリンゴが入っている』というのは、Apple
desk in でいいのですか?と質問する児童もいたといいます。
そこでその学校では、主語、動詞、目的語など、色で分けた単語カードを使いながら、文の構造を意識した学習を取り入れていきました」(羽岡清美指導主事)
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