特集 カリキュラムから考える小中連携
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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地域の実態をしっかり把握した上での連携を

 以上のように、さまざまな意図や目的がある中で、小中連携・一貫教育は進んでいる。学校独自の問題意識に加え、市区町村教育委員会の動きや地域の人口動態なども、取り組みの内容にかなりの影響を及ぼすはずだ。
  各校に求められるのは、実効性のある小中連携を、いかに自校に適した形で構想できるかだ。
  例えば、校区に1つの小学校しかない中学校と、複数の小学校がある中学校では、自ずと連携の方法は異なるだろう。後者の場合、小中連携と共に、「『小小連携』をいかに行うか」という課題を同時に考えなければ、効果的に連携を進めることは難しい。
  また、山間部に位置し、小学校との距離も離れた中学校が、人的交流を軸にすべての教科でチームティーチングや授業の相互乗り入れを行おうとしても、物理的に無理が生じかねない。それよりはむしろ、授業研究会を合同で行うなどして、まずは小中間で何が課題となっているのかを共有するところから取り組みを始めた方が、はるかに実りの多い結果を残せるのではないだろうか。
  多様な先行事例は押さえつつも、それらに引きずられない構想力こそ、今後の小中連携においては重要になるはずである。
  小中連携の必要性については、本誌でもたびたび取り上げているが(05年1月号06年1月号など参照【注1】)、少なくとも中学校の「入り口」部分への意識は、かなり高まってきている。今後は、「小中9年間」という全体を捉えて考えていくことが課題であろう。
  次ページからは異なる分野で小中連携に取り組む、4校の事例を紹介する。

注1:小誌のバックナンバーは、ベネッセ教育研究開発センターのウェブサイトでご覧いただけます

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