特集 生徒が変わる「キャリア教育」

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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Point2:地域の実状を踏まえた職場体験学習を行う

 一方、職場体験学習の実施日数について尋ねた図3からは、「キャリア・スタート・ウィーク」で推奨される5日間以上の体験学習の実施に、多くの学校が苦労している様子が読み取れる。実際、「事業所側の負担を考えると5日間は難しい」「校区で事業所が確保できない」などの声は、先生方からもよく聞く。小杉氏が指摘するように、地域の実状に応じた柔軟な運用が必要となる場合もあるだろう。
 この点で工夫しているのが、多古町立多古(たこ)中学校(P.14)と大田(おおだ)市立仁摩(にま)中学校(P.16)だ。両校とも事業所が少ない地域を校区とするが、5日間の職場体験学習を2日と3日の2回に分け、職場体験学習以外にも、地域の人々と一緒に教育活動を行う機会を設けている。校区の事業所の数が少なくても、地域の人々と接する機会が多ければ、多様な大人の価値観を学ぶことができる。職場体験学習とほかの活動を合わせて考えることが重要だ。
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図3

Point3:NPO、ジョブカフェなど、外部組織の支援を取り入れる

 キャリア教育を実施する時間や負担を、どう軽減するかも重要な課題だ。特に、体験学習の受け入れ先となる事業所や外部講師との折衝は、学校が不慣れな分野でもあり、負担が大きいという声を聞く。
 そうしたときに活用したいのが、学校と企業や地域の橋渡しをするNPOなどの組織だ。佐賀市立城北中学校(P.18)では地元産業界とのパイプを持つNPO「鳳雛(ほうすう)塾」と連携することで、外部講師の招聘や職場体験学習が効果的に実施できるようになった。また、NPOに限らず、近年はハローワークが体験学習の受け入れ先を斡旋する「ジュニア・インターンシップ」制度など、公的支援も充実している。学校ですべてを抱え込もうとするのではなく、効果的に外部組織と連携していくこともまた、充実したキャリア教育を行うためには必要だろう。

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