特集3-教師はコーチ、保護者は応援団長3年秋からの進路指導
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 24/28 前ページ 次ページ

特集3
教師はコーチ、保護者は応援団長
3年秋からの進路指導

3年生にとって、秋以降は進路を決定する大切な時期だ。
生徒が主体的に、悔いのない進路を決められるようにするために、学級担任や進路指導主事(主任)はどのような指導や援助をすればよいのだろうか。
今回は、進路指導に詳しい中学校の先生方への取材を基に、秋に行う進路指導のポイントを整理する。

 秋以降、3年生は進路決定の正念場を迎える。中でも、高校訪問と面談(進路相談)は生徒にとって志望校決定の節目となる大事な機会だ。教師と生徒がそれぞれ情報を収集し、進路を考える際のポイントを整理すると次のようになる。

【視点・観点】
  1. 高校に合格するための自信ではなく、入学後の学習・生活に対する自信が持てるか
    ――生徒自身の興味・関心、体力、学力、性格など
  2. 志望校が将来の進路希望とつながっているか
    ――ほかに選択肢はないか
【把握する情報】
  1. 保護者の意見、家庭の状況
  2. 高校の情報――校風、教育方針、費用、生徒の活動、進路状況、教育環境など
  こうした情報収集・提供の程度について、東京都台東区立上野中学校の関本惠一校長は「志望校決定の直前まで可能な限り行った方がよいでしょう。中学生の発達段階では、生徒は、嫌なことや辛いことに立ち向かうための、自分自身への理由付けができません。そこで、教師がそれらを考えるきっかけを多く与えることが必要です」と説明する。

進路相談の心構え10か条

 秋の高校訪問は、夏以前の高校訪問とは位置付けが異なる。「この学校なら満足できる」という確信を得るための訪問と捉え、単に高校の雰囲気をつかむのではなく、自分の入学後の姿を思い描けるように具体的に見るよう指導する。
 学校訪問と前後して行う進路相談は、日々の声かけ、放課後の相談、三者面談までさまざまな種類があるが、特に具体的な進路選択を前提とした秋以降の進路相談では、その種類を問わず以下の観点を押さえておく必要がある。

【教師の役割】
  1. 進路や志望校に対する生徒の気持ちを的確に把握する
  2. 生徒の個性・適性と志望校が合致するかを十分に検討する
  3. 将来の希望と進学先との関連を考え、合否の可能性について十分検討する
  4. 狭い観点からの選択ではなく、生きがいや個性を伸ばすといった広い視野で考える
  5. 教師は、志望校選択にあたって助言・指導する立場にあることを再認識する
  6. 担任1人だけでなく複数の教師の目で見て援助する
【生徒への働きかけ】
  1. できる限り正確な情報を提供し、日頃の学習状況に基づいた助言・援助を行う
  2. 生徒には客観的な情報を提示し、適性等も発展的に捉えさせる
  3. 生徒が自主的に志望校を選択・決定し、今後の準備等についても意欲的に取り組めるように助言・援助する
  4. 保護者の意向も尊重しながら、最終的には生徒の意思で決定させる

   PAGE 24/28 前ページ 次ページ