ベネッセのデータでみる子どもと教育 保護者の意識

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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 まとめ

家庭学習指導などを通じて
「自立」への働き掛けを

まじめ、でもやや受け身

 近年、子どもの授業態度はまじめになっているようだ(【1】)。94%の子どもが宿題をきちんとこなし(【2】)平日に宿題を「ほとんどしない」という子どもは少ない(【6】)など、基本的な学習態度は改善しているように見える。日頃のきめ細かな指導の成果だろう。しかし、言われたことには素直にこつこつ取り組むが、自ら進んで学ぼうという意欲や学んだことを更に深めようとする意識・学習行動には、課題も見受けられる。こうした態度や習慣は、成績上位の子どもほど身に付けている比率が高い(【3】【4】【5】)。

「自分で出来ること」を徐々に増やす

 少子化や保護者の教育観の変化などにより、保護者と子どもの関係がより密接になっている。例外はあるものの、子どもは家庭内で大切に育てられている。そうした中、ますます大切になってくるのは発達段階に応じた「自立」への手立てだ。生活場面のみならず学習の場でも、自らの意思と意欲で自立的に学習できるように導く必要がある。そのためには、子ども自身で出来ることを徐々に増やし、達成感を積み重ねつつ習慣化できるように、学校と保護者が上手に働き掛けることが大切だろう。保護者に対して「もっと子どもに任せてみてください」などと理解と協力を得る機会を増やしても良いかもしれない。

家庭学習習慣は生活習慣でもある

 家庭学習指導は、そのきっかけの一つになる。家庭学習習慣は生活習慣でもある。意欲的に自学自習できることが最終目標とはいえ、小学生のうちは学習をきちんと生活の中に位置付けることが先決だ。決まった時間に机に向かい、宿題等に取り組むことは「自立」と「自律」の第一歩。生活習慣付けの一環として、宿題の出し方や指導の在り方などについて、改めて学校ぐるみで検討してはどうだろうか。


【1】【2】【6】出典

「第4回学習基本調査・国内調査」ベネッセ教育研究開発センター

調査時期は2006年6~7月、調査対象は全国3地域[大都市(東京23区内)、地方都市(四国の県庁所在地)、郡部(東北地方)]の小学5年生2,726人。調査方法は学校通しによる自記式調査

【3】出典

「第4回学習基本調査・学力実態調査」 ベネッセ教育研究開発センター

調査時期は2006年11月、調査対象は、「第4回学習基本調査・国内調査」の対象者(上記)のうち、小学5年生2,446人、中学2年生1,723人。調査方法は学校通しによる自記式調査(テスト)

【4】【5】出典

「第2回子ども生活実態基本調査」ベネッセ教育研究開発センター

調査時期は2009年8~10月、調査対象は全国の小学4年生~高校2年生13,797人(うち小学生3,561人)。調査方法は学校通しによる自記式質問紙調査

研修会や保護者会に役立つ!
学習習慣や学習意欲に関するお薦めウェブサイト

文部科学省/国立教育政策研究所

平成21年度全国学力・学習状況調査
調査結果について

http://www.nier.go.jp/
09chousakekka/index.htm

◎全国学力・学習状況調査の結果一覧。都道府県別、地域規模別の結果や、知識に関する調査と活用に関する調査の相関なども見られる

特定の課題に関する調査
(国語、社会、算数・数学、理科、英語)

http://www.mext.go.jp/a_menu/
shotou/gakuryoku-chousa/
sonota/07032814.htm

◎国語は漢字・長文記述、算数・数学は数学的に考える力・計算力、といったように、各教科の特定の課題に関する学力調査結果や、児童・生徒、教師の意識が分かる
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)調査結果
http://www.mext.go.jp/b_menu/
toukei/data/pisa/

◎2000年、2003年、2006年の各調査結果の要約。例えば、2006年調査結果では、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーそれぞれの平均得点の国際比較一覧などが見られる

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2007)
http://www.mext.go.jp/a_menu/
shotou/gakuryoku-chousa/
sonota/07032813.htm

◎小学4年生、中学2年生を対象にした算数・数学と理科の教育到達度を図る国際比較調査。両教科の重要性をどう認識しているかや自信の有無など、子どもの意識が分かる

お茶の水女子大・ベネッセ教育研究開発センター

教育格差の発生・解消に関する調査研究
/berd/
center/open/report/
kyoiku_kakusa/2008/index.html

◎全国3地域の小学校5年生およびその担任、校長、保護者を対象に行った、学力格差の有無と程度を調べた調査。読書と国語力の相関や、児童と保護者のコミュニケーションの量と学力の関係などがグラフにまとめられている
*上記は2009年12月時点での情報です

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