最後にシラバスをブラッシュアップしていくためのポイントを見ていこう。シラバスが作りっ放しにならないためにも重要なポイントだ。事例校では、シラバス更新の時期・方法に特徴的な共通点が挙げられる。
(1)適切なスパンでシラバスの効果検証をしている
(2)シラバス活用アンケート等で生徒・教師の意見を取り入れて改善している
(1)通常、シラバスの効果検証は、年度末に一度という場合が多いようだが、学校によっては年度途中に、学期ごとや月ごとにシラバスの進捗確認をして軌道修正を行い、効果的なシラバス活用につなげているケースも見られた。泉松陵高校の事例が典型的で、教員用進路シラバスが月刊ということもあり、月ごとに教員に運営方針を聞き、それを学年会で協議した上で次のシラバスに反映させている。そうすることで教師間の共有化が迅速になり、生徒の状況変化に応じた臨機応変な対応が取りやすくなったという。
(2)また、更新の際は、教師だけでなく、生徒の意見も聞くことが有効なようだ。つまり、活用対象の意見も取り入れるということである。方法として、広く意見を聞くためにアンケートの実施が効果的なようだ。
例えば大宮高校では、毎年生徒にシラバス利用に関するアンケートを実施し、生徒の要望を反映し改善を重ねている。現に生徒の要望から携帯性を重視し、バインダー形式に変更するなど、使い込まれるシラバスを目指している。修猷館高校でも生徒の要望に応え、シラバスに成績の算出方法の欄を設け、生徒の学習への動機づけを図るなど改善している。
泉松陵高校では、シラバスを使った指導が成果を上げているかどうか、教師・生徒に対するマーク式のアンケートを用いた検証も行っている。教師の自己評価は甘くなりがちなため生徒にも実施しているという。
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