ベネッセのデータでみる子どもと教育

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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まとめ

自ら設定した前向きな学習動機が学習意欲につながる

手間が少ない方法でコツコツ勉強

 近年、子どもたちの授業態度はまじめになってきているようだ。復習を中心に、毎日コツコツ勉強する子どもが増加している(【1】)。一方、辞書を引いたり、図鑑などを使って調べたりといった、比較的手間がかかる学習方法を敬遠する傾向が見られる(【2】)。

なぜ勉強するのか、の動機付けから

 中学生になると、学習に関する悩みが増加する(【3】)。背景には、思春期に入ることや、授業の進度が速く内容も難しくなること、部活動などで生活が大きく変化することなどがあると考えられる。そうした中、学習意欲が前向きで、家庭学習習慣が身に付いている子どもの方が、成績が高いことは明らかだ(【4】)。学力向上のためには、まず、意欲的・自立的に学習に向かうための動機を、子ども自身が持つことが大切と言える。

成績に結び付く「受験」「友だち」の存在

 学習意欲を高めるために、どのような動機付けをし、働き掛ければよいのだろうか。すべての子どもに共通する方策を見出すことは不可能だが、成績が良い生徒はどのような学習習慣や学習動機を持っているかを分析することは、一つのヒントになるだろう。
 今回紹介した調査結果の中では、成績の良い生徒は、知識・理解が深まること自体を学習の動機として挙げる比率が高い【6】)。加えて、進学の希望や、ライバルでもある友だちの存在も、学習に向かい、成績を上げる動機としての影響が大きいようだ。
 中学生になると自分を客観視出来るようになり、自分がしたことの成果や伸びしろを客観的に把握し、改善できるようになる。学校での指導においても、小さなことでもよいから子ども自らの意思で目標を設定し、成功体験を積み上げて学習意欲へと結び付ける指導が、今後ますます求められるだろう



【1】【2】【3】出典


 「第4回学習基本調査・国内調査」 ベネッセ教育研究開発センター
調査時期は2006年6~7月、調査対象は全国3地域[大都市(東京23区内)、地方都市(四国の県庁所在地)、郡部(東北地方)]の小学5年生と中学2年生。総受験者数は小学5年生2,726人、中学2年生2,371人。調査方法は学校通しによる自記式調査

【4】出典


 「第4回学習基本調査・学力実態調査」ベネッセ教育研究開発センター
調査時期は2006年11月、調査対象は、「第4回学習基本調査・国内調査」の対象者(上記)のうち、小学5年生2,446人、中学2年生1,723人。調査方法は学校通しによる自記式調査(テスト)

【5】【6】出典


 「第2回子ども生活実態基本調査」ベネッセ教育研究開発センター
調査時期は2009年8~10月、調査対象は全国の小学4年生~高校2年生13,797人(うち中学生3,917人)。調査方法は学校通しによる自記式質問紙調査

研修会や保護者会に役立つ!
学習習慣や学習意欲に関するお薦めウェブサイト

文部科学省/国立教育政策研究所

平成21年度全国学力・学習状況調査
調査結果について

http://www.nier.go.jp/
09chousakekka/index.htm

◎全国学力・学習状況調査の結果一覧。都道府県別、地域規模別の結果や、知識に関する調査と活用に関する調査の相関なども見られる

特定の課題に関する調査
(国語、社会、算数・数学、理科、英語)

http://www.mext.go.jp/a_menu/
shotou/gakuryoku-chousa/
sonota/07032814.htm

◎国語は漢字・長文記述、算数・数学は数学的に考える力・計算力、といったように、各教科の特定の課題に関する学力調査結果や、児童・生徒、教師の意識が分かる
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)調査結果
http://www.mext.go.jp/b_menu/
toukei/data/pisa/

◎2000年、2003年、2006年の各調査結果の要約。例えば、2006年調査結果では、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーそれぞれの平均得点の国際比較一覧などが見られる

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2007)
http://www.mext.go.jp/a_menu/
shotou/gakuryoku-chousa/
sonota/07032813.htm

◎小学4年生、中学2年生を対象にした算数・数学と理科の教育到達度を図る国際比較調査。両教科の重要性をどう認識しているかや自信の有無など、子どもの意識が分かる

藤沢市教育文化センター

第9回「学習意識調査」
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/
kyobun-c/page100054.shtml

◎神奈川県藤沢市内の中学校3年生を対象に、1965(昭和40)年以降、5年毎に行っている学習意識調査。調査データを基にした、学習意欲に関する分析結果も興味深い
*上記は2009年12月時点での情報です

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