谷本 祐一郎
(株)ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長
1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。
高校の先生方から、「探究学習が生徒たちのキャリア形成につながっているのは間違いないと思う」といったことをお伺いする機会が増えてきた。しかしながら、まだまだ「授業中にどう関わっていけばよいか分からない」「生徒を不安にさせてしまわないか心配だ」といった実践に関する不安の声も多く聞かれる。そこで、ベネッセコーポレーション教育情報センターが2021年度5月と11月に実施したオンラインセミナー「生徒のやりたいを引き出す!探究的な学び 実践の第一歩」の内容から改めて、探究学習の実践ポイントを整理していきたい。なお、セミナーのアーカイブ動画はベネッセハイスクールオンライン(※)に掲載しているので、高校の先生方はぜひご確認いただきたい。
※高校の先生の課題解決をサポートする情報サイトとして弊社が運営。ログインにはIDとPWが必要。
探究学習のマインドセット 実践ポイントは3点
先生方の悩みや課題といっても、立場や分掌によっても異なるようだ。特に探究学習を企画・推進する立場にある先生にとっては、「教師間の巻き込み」「外部の巻き込み」「カリキュラム・教科連携」といった悩み・課題があり、一方で、実際にクラスで授業を担当する先生にとっては、「そもそも探究って何?」「どう指導したらいいの?」といった悩み・課題がある。
これらの悩み・課題は、「マインドセット」「スキル」「アウトプット」に分類することができる。このなかでも、特に「マインドセット」、つまりは、なぜ探究をやるのか?といった、そもそもの目線合わせに苦労している学校も多い。これは、自校が総合的な探究の時間をカリキュラム・マネジメントのなかにどう位置付けるか?といった学校経営視点での工夫も必要だが、実践レベルでは以下の3点がポイントとなる。
①役割の明確化…教師はファシリテーター、探究担当はコーディネーター
②目的・ゴールイメージの共有…活動の意義・意図に加え、生徒の探究事例も共有
③安心安全の場づくり…先生、生徒ともに失敗してもよい。チャレンジすることが大事
ある学校では、「生徒の問いに対して、教師も問いで返してよい。」と強調することで、①のファシリテーターとしての役割をイメージできた、といった事例もある。また、「探究学習は研究成果をあげることが目的ではない。うまくいかないことを経験するなかで、失敗から学びを得ることが大事です。」と伝えることで、③の安心安全の場づくりにつながったといった事例もある。
問いをつくるとは、クリエイティブな営み。みんなでつくるという選択も。
更に具体的な上記5点の課題について、(同)楽しい学校コンサルタントSecond代表・前田健志氏と認定特定非営利活動法人カタリバ・横山和毅氏に実践ポイントを聞いた。
こちらは、11月のセミナーを15分のダイジェスト版にまとめた動画でぜひご覧いただきたい。また、VIEW next ONLINE内に探究に関する前田健志氏の連載もあるのでこちらも併せてご確認いただきたい。
探究学習を次のキャリアにつなげる
学校推薦型選抜・総合型選抜の定員枠の拡大のなかで、高校時代の探究活動を生かせる入試・選抜も増えてきている。また、高校時代の探究活動を大学入学後も更に深めていけるような高校3年間+大学4年間の合計7年間の探究プログラムを準備している大学もある。進路・キャリアのための探究学習ではないが、高校時代の探究活動を生かす、そして、更に深めていくという視点からも、積極的に大学情報の収集を行うように生徒には伝えておきたい。島根大学、桜美林大学、崇城大学の3大学にアドミッションポリシーなどについて、インタビューした動画もあるので大学の想いを知る一つの機会にしてもらいたい。
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