谷本 祐一郎
(株)ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長
1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。
10月に入り、共通テストの出願や総合型選抜の選考開始など、2024年度入試が本格的にスタートした。最近は、総合型・学校推薦型選抜の拡大により年明けまでに進学先を決定する受験生が半数を超えており、「年内入試」というワードが使われることも多くなった。
今回は、各機関の公表情報、また弊社の入試データをもとにして、「年内入試の拡大」と「一般選抜の可能性」について整理したい。
「年内入試中心」はすべての大学ではない
大学入学者のうち、年内入試が一般選抜を上回ったのは2022年度入試のことだが、あくまで平均であることは押さえておきたい。設置区分別に年内入試の割合を見ると、国公立大学は約20%、私立大学は約60%となっており、大きく傾向が異なることがわかる。
また、私立大学の中でも比較的難易度の高い大規模大学は、約60%を一般選抜での募集人員としている。さまざまなメディアで「大学入試は年内入試中心」と報じられていることもあり、とにかく早く進学先を決めたいと考える受験生が多くなっているが、まずは志望している大学がどんな入試を行っているか確認することは大切だ。
ちなみに、有名私立大学の年内入試は指定校推薦や内部推薦が多くを占めている。つまり、誰でも出願ができる公募入試の枠は小さいということも、これから大学受験を迎える生徒・保護者の皆さんには知っておいていただきたい。
一般選抜の可能性も広がっている
一般選抜を前に進学先を決定する受験生が増えたことで、一般選抜の競争は緩和されている。
例えば、大学入学共通テストの受験率はここ数年低下しており、秋の出願から1月の共通テスト本番までの間に受験を終える生徒が多い様子が感じられる。
こういったライバルの減少は、一般選抜の難易にも表れている。毎年多くの志願者を集めるMARCHや関関同立といった難関私立大の合格率は上昇し、進研模試偏差値50台後半の例を取り上げると、5年の間に10~20%程度、合格率が高まっている。
進研模試を受験した場合は、個人成績表に記載されている自分の偏差値と照らし合わせて、現時点の可能性をイメージしていただければ幸いです。
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