谷本 祐一郎
(株)ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長
1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。
ベネッセコーポレーション・教育情報センターが、2021年12月~2022年2月に、全国の大学を対象に行った、学校推薦型選抜・総合型選抜に関するアンケート調査について、前回は、学校推薦型選抜について報告した。今回は、総合型選抜について報告する。なお、アンケート集計結果の完全版はベネッセハイスクールオンライン(※)に掲載しているので、高校の先生方はぜひご確認いただきたい。
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総合型選抜の実施目的は?
総合型選抜の実施目的を見ると、「全体」で「とても当てはまる」という回答が最も多かったのは「大学での学びについて意欲の高い生徒に入学してほしい」(91%)であり、次いで「大学での学びについて適性の高い生徒に入学してほしい」(72%)となった。主な実施目的としては学びへの意欲や適性の高い生徒の確保となっており、これは学校推薦型選抜と同様である。
設置区分別にみると、国立大学では「学力以外の視点で資質・能力の高い生徒に入学してほしい」(80%)が2番目にきており、また、「高校在学時の活動で実績がある生徒に入学してほしい」(42%)も他の区分と比べて多くなっている。私立大学では「早期に合格者を確保したい」(37%)が、他の設置区分と比較してやや多い回答となった。
総合型選抜で受験生に求める力は?
総合型選抜で受験生に求める力を見ると、「全体」で「とても重視している」という回答が最も多かったのは「明確な志望動機(大学・学部・学科で学びたい理由)」(89%)であった。これは学校推薦型選抜で受験生に求める力として重視していることとも同様である。一方で、2番目以下は学校推薦型選抜で受験生に求める力として重視していることとは異なり、「コミュニケーション能力」(63%)、「何事にも前向きに取り組む姿勢」(61%)といった項目が続いた。学校推薦型選抜では「基礎学力」や「思考力、判断力、表現力などの応用的な学力」など、学力に関する項目が上位にきたことと対照的である。さらに総合型選抜では「基礎学力」を重視しないという大学も10%みられた。
設置区分別にみると、国立大学では「社会の諸問題に対する関心や課題意識」(75%)や、「協調性」(71%)などの項目で、「とても重視している」という回答が他の設置区分に比べて多くなった。
総合型選抜で入学した生徒の特徴は?
総合型選抜で入学した生徒の特徴について、「全体」で「とても当てはまる」と「やや当てはまる」の回答割合の和が最も高かったのは「大学での学習に対する意欲が高い」(58%)と「大学の授業以外の活動(資格取得や地域貢献活動など)において積極的な学生が多い」(58%)となった。
設置区分別で見ると、国立大学では「大学の授業などでリーダーシップをとれる学生が多い」(67%)の項目が他の設置区分と比較して高くなっているが、前述の受験生に求める力として重視していることとも一致しており、選抜で求めるリーダーシップが入学後も発揮されていると言えよう。
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