谷本 祐一郎

(株)ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長

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令和5年度大学入学共通テストの出願が令和4年9月26日(月)から始まり、10月6日(木)(10月6日消印有効)までの期間で受付がされる。ここでは、令和4年3月1日~3月31日の期間で全国の高校へ調査を行った「2022年度 新課程および教育活動全般に関する調査」の集計結果を中心に、共通テスト攻略のポイントについて紐解いていきたい。

2年目の共通テストでは「読解力」に課題を感じるという声が多数

共通テストで出題された問題やその特徴について、特に今後の対応が必要だと感じることを尋ねた。最も課題感が高かったのは、「【数学】全体的な読解量の多さ(78%)」であった。平均点が大幅に低下したこともあり、数学について対応の必要性を感じる学校が多かったと見られる。次点は「【英語】全体的な読解量の多さ(68%)」であり、フリーアンサーでは、数学に限らず、多くの教科で読解力の必要性を指摘する声が多く見られた。

また、前年度の調査と比較すると、「【地歴公民】初見のものを含む多くの資料を読み解き、考察する問題」や「【国語】複数の文章や資料を比較・関連付ける問題」など、「複数資料の読み解き・情報理解」に関する項目の課題感が増していることも特徴的である。

これは単純に文章量の多さに対応する意味での読解力だけでなく、複数の資料から必要な情報を適切に拾い上げるような情報理解も兼ね備えた読解力が求められていたためと考えられる。

今後の対応が必要となりそうな問題や特徴(フリーアンサーより抜粋)

・思考過程の一部を切り取って答える問いに対して、短時間に的確に答える能力。

・各教科文章量が多いので、国語の力が必要と感じる。

・全教科にわたって、問題文を読む速さをどう鍛えるか。

・読解力のなさが全教科に波及してしまい成績が伸びない生徒が多い。

「読解力」「強い志望理由」「見通しを持って学習を進める」がポイント

共通テストの結果がよかった生徒の特徴を尋ねたところ、「読解力が高い(50%)」の回答率が最も高く、やはり今年度の共通テストでは「読解力」がポイントになったといえそうだ。次いで「学習時間が多い(48%)」、「希望進路が明確で、強い志望理由がある(48%)」、「見通しを持って学習を進めている(44%)」と続いた。また、フリーアンサーでは情報処理能力や速読力などに言及するものが多く見られた。

共通テストの結果がよかった生徒の特徴(フリーアンサーより抜粋)

・自分で学習計画ができて、強い意志を持っていた生徒。

・自律的な学習ができる生徒は伸びる。

・情報処理能力が高い。計算速度が速い。

・自分の考えを他者に伝えたり、他者の考えを理解したりする能力が高い。

 

共通テスト攻略のポイントとしては、文章量の多さに対応する意味での読解力だけでなく、複数の資料から必要な情報を適切に拾い上げるような情報理解も兼ね備えた読解力を身につけていくこと。また、コロナ禍で様々な制約がある中ではあるが、積極的に進路に関する情報収集を行い、明確な希望進路と強い志望理由をつくりあげていくこと。最後に、言われたことをただやる受け身の学習ではなく、見通しを持った学習を進めていくこと、これら3点を受験生にはしっかりと伝えておきたい。

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