谷本 祐一郎
(株)ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長
1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。
「生徒の問いに、先生は問いで返しても構わない」
これは、探究活動の関わり方に悩む先生へ専門家が送ったアドバイスである。
平たく言えば、「探究」とは生徒が自ら問いを設定し、試行錯誤しながら自ら答えを創り出していくということ。そして、その過程のなかで多くの気づきや学びがあることである、と考えると冒頭のアドバイスは、まさに探究の本質を突いたものであることが分かる。
探究活動の関わり方に悩む先生方の多くは、「生徒が探究を自分ごととして捉え、主体的に活動をどんどん進めていってほしい」といった願いを持っており、21年度に実施した探究セミナーでは講師の先生から以下のような解決のヒントを提示いただいた。
①言葉の定義をそろえる
「テーマ設定」、「問いの設定」、「課題設定」など、学校によって、先生によって使う言葉は様々。その結果、それぞれが思い浮かべるものが違うということが多い。まずは、その言葉の定義をそろえることが重要。
②問いの形を複数提示し、どのような問いの形を目指すべきか、アウトプットイメージを生徒と共有する
▲環境問題について(問いの形になっていない)
▲人生の成功とはなにか?(課題が大きすぎる、抽象的すぎる)
▲地方の過疎化の原因は?(調べたことを羅列するだけになってしまう、調べたらすぐにわかってしまう)
〇地方の過疎化を止めるために、高校生の立場でできることとは?
③最初から完璧な問いを生む必要はない。問いはアップデートしていくもの
まずは、「アニメ」「メイク」「環境問題」など、生徒自身が関心のあるキーワードを考えることからでよい。そのキーワードについて、「具体的には?」「起きている原因は?」「関連しそうな分野は?」など、先生から生徒にいくつかの小さな問いを示し、調べていくように促す。その過程で、キーワードのなかの、具体的にどの部分に自分の関心があるかに気づき、新しい問いが生まれていく。
④なんでも好きなことを探究してよいという「心理的な安全性」を担保する
先生は、漫画でも、アニメでも、アイドルでも、生徒が好きなものは否定せず、受け入れる。自分自身を出してよいという心理的な安全性が、「自分ごと」の問いを生み出す基盤となる。そのためにも、生徒が発することに対して、先生自身が関心を寄せてあげることが重要。
⑤身近なものから問いをつくる練習をする
いきなり問いをつくるのは難しい。例えば、目の前にあるペットボトルについて問いをつくる練習(何でできているのか?どのように作るのか?いつからあるのか?など)をするなど、日常的に問いをつくる練習をすることで、問いをつくる力を育成することができる。
⑥問いをつくるとは、クリエイティブな営み
生徒一人ひとりが考えるだけでなく、大人や他の生徒と一緒に問いをつくることも有効。個々人の関心のあるテーマについて、これってどういうこと?こういう問いもあるね、のように対話を通じて問いを生み出すことで、一人では生み出せなかった問いに生徒自身が気づくことができる。生徒の問いに対して先生から答えを伝える必要はなく、「問い」に対し「問い」で答えても良いというマインドを持つこともポイント。
当日のセミナーの様子を15分のダイジェスト版にまとめた動画もあるのでぜひご覧いただきたい。
探究で生徒とどうかかわればよい?~『ファシリテーション』と『問い』の楽しい学び合い~
ベネッセでは、「問い」や「ファシリテーション」をテーマにしたワークショップ形式の探究セミナーを高校の先生方向けに2023年2月15日(水)、2月16日(木)と企画しています。両日とも講師は、VIEW next ONLINE内にて探究に関する連載もいただいている、(同)楽しい学校コンサルタントSecond代表・前田健志氏です。15日(水)は新宿での会場開催、16日(木)はオンライン開催となりますので、詳細は下記にてご確認ください。
▼▼開催日時▼▼
2月15日(水)会場開催:15時~17時 定員:45名
会場:TKP新宿カンファレンスセンター
※受付は14時30分開始です。前日に詳細なご案内のご連絡をいたします。
※交通費のご用意はしておりません。何卒ご了承ください。
2月16日(木)オンライン開催:15時30分~17時00分 定員:200名
開催形式:Zoomミーティングによるオンライン開催
▼▼講師の先生のご紹介▼▼
合同会社楽しい学校コンサルタントSecond 代表
前田 健志先生
→数多くの学校で探究活動などをサポートされており、金沢大学高大接続コア・センター特任助教、福井大学教職大学院コーディネートリサーチャーなどを兼任されています。
▼▼お申し込み方法▼▼
2月13日(月)までに下記URLよりお申し込みください。
2月15日(水):https://benesse-hs.jp/qrzgi
2月16日(木):https://benesse-hs.jp/px6rv
※両日程とも定員になり次第、受付を終了します。お早めにお申し込みください。