谷本 祐一郎

(株)ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長

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「入学試験」は春の季語。入試といえば春というイメージがあるが、ひとえに大学入試といっても、実施される時期や試験の形式、必要な書類、求められる力、受験できる回数など、多種多様な種類の入試がある。ここでは、大学入試について初めて調べる高校生や保護者のみなさまに向けて、入試の基礎となる情報をお伝えしたい。

大学入試は大きく分けて3種類

大学入試の主な方式は、一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜3種類となっている。

一般選抜は教科学力を重視した選抜方法であり、主に高校3年生の1月以降に試験が実施される。近年、学校推薦型選抜・総合型選抜の拡大によって縮小傾向にはあるものの、依然として全体の募集人員に占める割合が最も大きい選抜方式であり、特に国公立大においては入学者の約8割を占める主要な選抜方法である。

学校推薦型選抜は、高校時代の学業成績やスポーツ・文化活動などの推薦基準を満たしている生徒を、高校の学校長が推薦する形で出願できる入試方式だ。一般選抜では測れない多様な能力を持った生徒を獲得することが大学側の目的で、選考は書類審査や小論文、面接が中心となる。細かいスケジュールは大学ごとに異なるが、全体のルールとして、11月から出願受付・試験の実施が解禁される。ただし、大学によっては1校から推薦できる人数に制限を設けているところもあることから、希望者が多かった場合、出願前に校内選考が実施される場合がある。高校によってもスケジュールは異なるが、夏休み~9月ごろまでに校内選考を実施する場合が多く、入試に向けた準備は高校3年生の夏休みには本格化する。

総合型選抜は、全体のルールとして9月から出願受付・試験の実施が解禁される最も実施時期の早い選抜方式であり、「この大学でこんなことを学びたい!」という意欲や入学後の目標が特に重視される傾向にある。試験では、志望理由書や調査書といった書類選考と面接、小論文が行われるケースが一般的であり、志望分野に関する知識や、思考力・判断力・表現力なども含めて多面的に評価されている。

このように一口で大学入試といっても様々な種類があり、9月~3月まで幅広い期間で実施される。学校推薦型選抜や総合型選抜に出願する場合には、高3の夏休みには提出書類の準備を始める必要があるため、計画的に受験対策を進めることが重要となる。

これだけは押さえておきたい「大学入試の基礎」解説動画

ベネッセ教育情報センターYouTubeチャンネルでは、大学入試について初めて調べる高校生や保護者のみなさまに向けて、入試の基礎となる情報を簡潔にまとめたシリーズ「大学入試の基礎」を公開しています。これだけは押さえておきたい基本的なポイントを中心としており、大学入試の情報収集の一歩目としてご活用いただければ幸いです。

【早いものは9月にスタート!】大学入試の種類とスケジュール

・大学入試は種類によって9月~3月まで幅広い期間で実施される

・出願の準備も考えると、早い人で高3の夏休みには提出書類の準備を始める必要がある

【チャンスは3回!】国公立大の一般選抜

・一般選抜は基本的に前期・中期・後期の3回出願できる

・国公立大の入試は基本的に共通テスト+個別試験の合計点で決まる

・難関大ほど個別試験の配点割合が高く、共通テストの結果で2段階選抜を実施する場合もある

【スケジュール管理で合格をつかみとれ!】私立大の一般選抜

・私立大は多様な入試方式があり併願数に制限がないが、入試日が重複すると併願はできない

・移動や宿泊、心身の疲労などを考慮して入試スケジュールを整理することがとても大事

・私立大専願者は3教科の受験が主流。ただし、高得点採用の大学も多いため科目数を増やすメリットもある

【志望動機を明確にしよう!】総合型選抜 

・総合型選抜でも教科学力を評価する大学が増加

・高校での「探究学習」で得た力を評価する大学が増加

・総合型選抜に向いている人とは?

・節目ごとに振り返りを行い、自分の歩みを「棚卸し」してみよう

【3年間の努力をアピール!】学校推薦型選抜 

・「指定校制」と「公募制」の違いとは?

・出願要件や校内選考の参考として、一定の評定平均を超えることが必須

・学校推薦型選抜に向いている人とは?

・3年間の頑張りが評価されるため、早くから準備と情報収集をしよう

【受験パターンは9月までに決定!】大学入学共通テスト

・共通テストは全問マークシート式で、原則として全ての受験生が同じ日程で同じ問題の試験を受験

・国公立大志望者は5教科、私立大専願者は3教科の受験が主流

・理科の選択パターンは複雑なので特に注意