谷本 祐一郎
(株)ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長
1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。
高校生の保護者からよく伺う声
7月に入り、夏休みも目前になった今、大学進学を希望する高校3年生の保護者にとっては、部活動を引退した我が子を見て、「夏休みを有意義に使えるのか…」「だらけてしまわないか…」「どうアドバイスをしたらよいか…」と、応援と心配の気持ちでいっぱいだろう。
高校1年生、高校2年生の中でも、早いうちからオープンキャンパスに積極的に参加するお子さんもいれば、大学進学したいという割には進路のことは二の次といったお子さんまで様々であり、我が子の考えについて気になる方も多いのではないだろうか。
夏休みはどの学年においても、人生や進路を考える時間がいつもより少し長くとれる、そんな時間だろう。
しかし、夏休みに何かしら親子で話し合いたいと思う保護者が多い一方で、進路について我が子との会話のきっかけを作りづらいという保護者の声もよく伺う。
高校生は親にどんなかかわり方を求めているのか?
私は仕事柄、学校にお伺いし、高校生のリアルな声を聞く機会が多い方の大人だと思う。
最近よく高校生から聞くのは、
○毎日の勉強で忙しいから、大学の情報を親が一緒に調べてくれたり、教えてくれたのはすごく助かった!
という声である。
一方でこんな声もある。
●勉強しているの?と聞かれると心配してくれているのはわかるけど、もっと信じてほしいって思う。
という声である。
思い返せば私も、親に「勉強しているのか?」と言われるとよく、モヤモヤした気持ちになったものだ。
しかし私も親になった今、「そうは言われても、心配だからついつい聞いてしまう」というのが本音である。
親のもう1つの不安
我が子の進路について考える際に親がどうしても外せない観点は、お金事情だろう。
大学受験から大学生活に必要なお金には「その費用忘れていた!」というケースも散見される。
例えば地元から遠く離れた大学を受験する際にかかる交通費や宿泊費用だ。
それ以外にも、第一志望の合格が出るまでの期間に併願校の入学金手続き締め切りがある場合、まとまったお金の用意が必要になる。入学手続きの締め切りは大学によって異なるため、志望校の急な変更がある可能性に備えて余裕をもって準備をしたいものだ。
この大学受験から入学にかかるお金事情については、こちらの動画で解説をしている。
奨学金や教育ローンといった支援制度についても解説しているので、是非ご参考ください。
親子での進路に関する円滑なコミュニケーションの進め方
我が子への心配、お金の不安、親にとっては考えることが尽きないのが現実だろう。
この不安を解決する手段として、こちらはいかがだろうか。
『家族マネー会議 ワークシート』
我が子の希望進路を聞きつつ、進学にかかる費用と家計の状況を整理し、家族で進路について検討を深めていっていただくためのワークシートである。
これをきっかけに、「進路とお金のことで相談したいんだけど!」と切り出し、親子で円滑なコミュニケーションを進めるきっかけにしていただきたい。
https://manabi.benesse.ne.jp/lab/parent/school/school053_worksheet.pdf
最後に…
進路について家族会議をする際に、以下の点に注意して会話をすることをお勧めする。
①お互いの考えを正直に話す
家族会議の時、隠し事や遠慮は無用です。子どもは「自分がどうしたいのか」、保護者は家計や今後のお金の計画をどう考えているのか、それぞれ正直に話しましょう。
②相手を否定しない
子どもが正直に話してくれても、最初から「それはダメ」と否定しては話しにくくなってしまいます。
まずはじっくり話を聞くことに徹して、気持ちや現状を確認しましょう。
③すぐに諦めず、調べて考える
大学も様々、入試方式も様々、支援制度も様々あります。子どもが諦めモードになっても親は積極的に調べて、寄り添ってあげましょう。
親子で進路に関する円滑なコミュニケーションの進め方についての解説動画はこちらから。
これらの動画は「大学入試のあれこれ」について解説した動画の一部抜粋を使用しています。
全編まとめはこちらからご覧ください。
全編まとめでは、近年の入試の基本情報や直近の入試の振り返りについても解説しています。
この夏がすべての大学進学を目指す高校生にとって有意義なものになりますように。