18歳未満の「未来の有権者」の政治への関心を高めようと、さまざまな団体が「模擬選挙」を広げている。本物の投票箱を使うなどし、子どもたちが一足先に選挙を疑似体験できるよう工夫を凝らす。
福島県選挙管理委員会は、2012年から県内の高校で模擬選挙を始めた。生徒は架空の候補者の演説動画を視聴し、実際の選挙で使われている投票箱に一票を投じる。投票用紙は折り目の開きやすい実物に近い材質というこだわりようだ。在学中に選挙権を持つ高校生への主権者教育の一環で、昨年は延べ49校5696人が体験した。
選管の担当者によると、実施後7~8割の生徒が「以前より選挙や政治に対して関心が増した」とアンケートで回答。昨年11月の県議選では全体の投票率が下がる中、10~20代は横ばいだったといい、担当者は「模擬選挙を体験した生徒の多くは20代になっている。自分の考えを持って投票してほしい」と衆院選での投票率アップに期待を寄せた。
浦和大の林大介准教授(政治学)が代表を務める「模擬選挙推進ネットワーク」は、小中を含む全国の学校での模擬選挙を支援している。各政党から提供を受けた実物の選挙ポスターやマニフェスト冊子を教材にし、リアルさを追求した。林さんは「政治を人ごとでなく、自分のこととして考えてほしい」と訴える。
今回の衆院選を受け、子ども向け職業体験施設「キッザニア東京」(東京都江東区)では24日、本物の投票箱や記載台を使った模擬選挙イベントが始まった。修学旅行で訪れた山形県米沢市の小学6年の女子児童(12)は「投票の大切さを実感した。大人になったら必ず投票に行きたい」と話した。
キッザニアが12年の衆院選から国政選挙に合わせて実施している模擬選挙は9回目。3~15歳が参加でき、投開票日の27日まで行う。