西島 一博
(株)ベネッセコーポレーション ベネッセ文教総研 所長
(株)ベネッセコーポレーションで、高校、中学校、小学校対象のさまざまな教材開発に携わる。2016年度より高校用教材・生徒手帳等の制作・販売を行うグループ会社、株式会社ラーンズの代表取締役社長を務め、2021年度より現職。ベネッセ文教総研では、主として中高接続、高校教育、高大接続の領域での研究、情報発信を行っている
前回は、公表時期、地理歴史・公民についての結果を報告した。今回は、数学、情報に関して報告する。
結果報告(1)はコチラ
問4 文系学部の個別試験で「数学C」を課しますか。
「数学C」は、共通テストの数学②で出題されることになり、文系でも履修する高校が多くなった。
ここでは文系学部の個別試験における出題の意向を聞いているが、国立大学は共通テストで課されることを受けて、個別試験でも数学を課す場合には「数学C」も視野に入っているようである。一方、公立大学・私立大学は課さない大学が主流ということになりそうである。
「数学C」のうち、「ベクトル(「数学B」から移動)」と「平面上の曲線と複素数平面(「数学Ⅲ」から移動)」の両方を文系学部で求めるのか、「ベクトル」のみを指定するのかは今後注視が必要で、「平面上の曲線と複素数平面」も必要となると、現行課程の入試よりも学習すべき範囲が広がることになる。
問5 共通テストの『情報I』の科目の扱いについて、現段階での貴学の予定をお聞かせください。私立大学の場合は、共通テスト利用入試についてお聞かせください。
国立大学協会から「原則としてこれまでの『5教科7科目』に『情報』を加 えた6教科8科目を課す」との基本方針が発表されたことを受けて、国立大学では共通テストで『情報I』を課す方向で検討されている。公立大学、私立大学では課す、課さないが分かれているが、課す方向での検討が多いようである。
問6 問5で「課す」「一部で課す」と回答された場合、共通テストの『情報I』の必須・選択の取り扱いについて、現段階での貴学の予定をお聞かせください。私立大学の場合は、共通テスト利用入試についてお聞かせください。
また、同じく共通テストの『情報I』について、課す場合に必須解答科目とするのか、選択回答科目とするのかを聞いた。国立大学ではほぼ必須、私立大学ではほぼ他教科との選択科目として検討されているようである。公立大学では取り扱いが分かれている。
問7 個別試験の「情報I」の科目の扱いについて、現段階での貴学の予定をお聞かせください。
個別試験において、「情報I」を課さない大学が多くなりそうであるが、課す方向で検討している大学も一定数あることに注目したい。
また、初年度は既卒生への配慮のため出題を見合わせたが、2年目以降の個別試験での出題を検討する旨のフリーアンサーでの回答もあった。
今、文系・理系問わず、国立・公立・私立問わず、「数理・データサイエンスAI教育」を全学共通科目として設置する大学が増えていっている。「数理・データサイエンスAI教育」は、高校の『情報』と深くつながっている。大学教育に必要な素養を高校の必履修科目を入試に課すことによって確認するということは自然な流れであり、今後、『情報』を入試で課すことは広がることはあっても縮小していくことはないと思われる。
次回、「令和7(2025)年度 新課程入試科目に関する大学アンケート結果報告(3)」では、英語の外部検定試験活用に関する結果の報告とともに、すでに大学からの新課程入試科目の予告・公表が始まっているので、その状況を紹介する。