オーストラリア・シドニー郊外のボンダイビーチで海水浴をする人々=2024年12月
【シドニー時事】オーストラリアの小学6年生の約半数は、50メートルを泳ぎ切ることができない―。水泳が盛んと言われてきた豪州で、水難救助団体がこのほど公表した調査結果に衝撃が走った。コロナ禍で水泳を習う機会が激減したことが泳力低下につながったとみられ、溺れる事故の増加が懸念されている。
豪ロイヤル・ライフ・セービングが18日に公表した調査結果によると、11~12歳の小学6年生の48%が、国の安全基準で習得が推奨されている50メートル完泳と2分間の立ち泳ぎができないことが分かった。15~16歳の高校1年生の39%も、この基準を満たしていなかった。
豪州は五輪の競泳で有力選手を多数輩出する「水泳大国」として知られるが、コロナ禍の2020~22年は学校での水泳の機会が大幅に失われた。その後も予算と人員の不足で回復が遅れ、水泳の機会を全く設けていない学校は3割強に上る。5~14歳の1割は、水泳を習ったことが一度もないという。
南半球の夏に当たる24年終盤~25年初期の国内溺死者は104人で、最近5年間の平均より14%も多かった。同団体は「泳げない子供は、大人になってから溺れるリスクが10倍高い。手遅れになる前に対策を急ぐ必要がある」と指摘。水泳教育の予算やプール設備の拡充を行政に促している。