【カイロ時事】国連のドゥジャリク事務総長報道官は9日、パレスチナ自治区ガザで「60万人以上の若者が教育機会を奪われている」と懸念を示した。ガザでは9日から小中学校の新年度の授業が始まる予定だったが、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突で子供たちが教育を受けられる状況にない。

国連児童基金(ユニセフ)によると、少なくとも4万5000人が小学1年生になるはずだった。しかし、ガザ当局はロイター通信に、学校の9割が破壊されたか損害を受けたと説明。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校約200カ所も多くが避難所として利用されており、授業実施が困難だ。避難を繰り返す生活の中、ガザでは衝突が始まった昨年10月から、学齢期の子供約62万5000人が学校に通えない状況が続いている。

一方、ロイターによれば、イスラエル軍が9日、ガザ北部で国連の車列を停止させた。「パレスチナ人容疑者」が乗っているとの情報があったという。

ガザでは1日からポリオ(小児まひ)の予防接種実施に伴い、対象地域で戦闘が休止されている。イスラエル軍は、停止させた車列について「ポリオワクチン輸送のためではなく、国連の要員交代のための車列だ」と説明した。