- 学校教育関係者全体向け
【連載】楽しい学び合い 第17回
「主体性って、どう評価すればいいの? これからの評価って、何が求められているの?」~part3~
合同会社楽しい学校コンサルタントSecond
ベネッセ教育イノベーションセンター客員研究員 前田健志
2023/01/20 09:30
皆さん、明けましておめでとうございます!
お正月はゆっくりできましたか?
僕は、連載の〆切を延ばしていただいたので、温泉でゆっくりできました(笑)。
(しかもビンゴ大会で景品が当たるなど、めちゃくちゃ幸先のよいスタートを切りました)
ところで、ビンゴ大会って、何であんなに盛り上がるんでしょう?
「景品が当たるから」だけだと、あんなに盛り上がらない気がしませんか?
じわじわビンゴカードに穴が開いていって、リーチになってからもなかなかビンゴにならない……。
そんな“プロセス”があるからこそ、盛り上がるんですよね♪。
プロセスって、何事においても大事💛。
おっ、本題に近づいてきましたね……(無理やり(笑))。
前々回、前回と、評価の話をしてきましたが、今回は“プロセスの評価”“将来性の評価”について、皆さんと考えていきたいと思います♬。
とは言っても、年末年始を挟んでいるので、少し復習から行きましょうか👍。
皆さんが今まで生きてきた中で、「これは成長につながったな~。自分のためになったな~」と思う評価って、どんな評価ですか?
前々回(第15回)に出した宿題でした。
少し、思い出しました?(笑)
皆さんの答えが見られなかったのが残念ですが、いろんな答え・評価の形が出てきたのではないかなと思います。
皆さんの答え(成長につながる評価)を大きく分類すると、3パターンになるのではないかと僕は思っています(違ったら、ぜひご連絡ください💛大歓迎です♬)。
① 現状把握のための評価
「今、何ができる? できない?」「今、自分にはどんな特徴・傾向がある?」
「今、自分はどんな状態?」……etc.
② プロセスの評価
「どのように変化・成長した?」「何が変わってない?」……etc.
③ 将来性(予測)の評価
「今後、どうなっていく?」「伸びしろは?」……etc.
「健康診断」で例えると、分かりやすいですかね👍。
いろんなものを測定して数値化することで、自分の特徴を見つけたり、他者と比較してみたりすることができる。これが“①現状把握のための評価”。
去年の数値と比較して、体の変化を見る。これが“②プロセスの評価”。
①・②を踏まえて、今後、自分の体がどうなるかを予測する。これが“③将来性の評価”。
どれが一番大事とか、そういう問題ではなく、すべて大事ですし、つながっています♬。
そして前回は、“①現状把握の評価”について皆さんと考えました。
「そもそも現状把握をなぜするのか?」から始まり、「評価される本人たちは何の現状把握をしてほしいと思っているのか?」といったことまでを考えていきました。
では今回は、“②プロセスの評価”から考えていきましょう♪。
前回少し取り上げましたが、「どのように変化・成長したか? 何が変わってないか?」を知ったり、考えたりするためには、過去がどんな状態であったかを把握し、現状と比較する必要があります。
では再度、皆さんに質問です♡。
どうすれば過去の自分の状態を知ることができるでしょうか?
人間は忘れやすい生き物です(忘れやすい生き物だということすら、忘却していることもよくあります(笑))。
頭の中の記憶だけでは、過去の自分に迫ることは難しい……。
だからポートフォリオなど、「記録すること」が大事なんですよね♡。
ただその時に、誰かに忖度して本音を書かなかったり、「○○が楽しかったです」みたいな表面的な感想でしかなかったりすると、過去に迫るための手がかりになりません……(笑)
できる限り、その時の自分の正直な感情・思い・考えを記しておく方が、振り返りがしやすいと思います♬。
そういった記録を振り返ると、ただ「○○が伸びた」とか、「□□ができるようになった」という技術・能力面の変化だけではなく、ネガティブにしか捉えられなかった経験に対して、今ではポジティブな価値づけができていることに気づいたり、視野の広がりを感じたりすることができます💛。
ほかにも、自分が変わらず大事にしている価値観に気づいたり、それを再確認したり、自分の感情や思考の傾向を見いだせたりすることもできます♬。
また、自分をよく知っているのは自分だけじゃなく、
他者が自分の変化に気づいてくれることもありますよね👍。
ということは、記録だけでなく、他者との対話も、“②プロセスの評価”の大事な材料になってきます♬。
まさに「協働探究」!
そうやって自分をより深く知っていくことが、「この後、自分はどう生きていきたいのか?」という“今後の展望”につながっていくのではないでしょうか👍。
では、最後の“③将来性の評価”について考えていきましょう~。
どの世界でも、「この人は今から伸びる」とか、「将来性がある」って言いますが、その根拠って何ですか? 客観的な根拠ってあるのでしょうか?
ないですよね(笑)。だから皆さん、「評価」に苦労している……。
では、原点回帰しましょう♪。
今考えている評価は、誰の、何のための評価ですか?
評価を考えれば考えるほど忘れてしまいがちなので、再度書かせていただきました(人間は忘れやすい生き物なので(笑))。
もしこの答えが、「子どもたちの成長のための評価」なのだとすれば、客観的な根拠が一番大事なのではなく、本人たちが、評価を妥当だと納得して受け入れ、今後に活かしていくことの方が大事ですよね👍。
つけた評価が「いい評価だったか」「価値のある評価だったか」どうかは、「今後に活かされるかどうか」にかかっているわけです💛。
でも、どうやったら妥当だと納得してくれるのでしょう? “③将来性の評価”の妥当性って、どうやって担保しますか? 何が担保材料になりますか?
多くの方が考えられたと思いますが、今までどういう経験をしてきたか、どんな変化をしてきたかといった、“②プロセスの評価”が担保材料になると思います。
ほかにも、誰か1人が評価するのではなく、多くの人が評価した方が、妥当性も高まるかもしれませんね👍。
紙面も少なくなってきました……。
本連載初の3回(part1~3)にわたって「評価」について皆さんと考えてきましたが、本当に多くの先生方が評価に関して悩まれていると思います……。
でも本来、評価は「今後に活かしていくこと」が目的の、非常にポジティブなものです♬。
僕自身、ある人の“③将来性の評価”に救われた経験があります💛。
今は周りに信じてもらえないのですが(笑)、僕は学生時代から自己嫌悪が激しく、自分の嫌な部分ばかりに目がいって、教員になって、20代前半にも3回うつ病になりました。
でも父はいつも、迷い苦しみながらも生き続けるプロセスを肯定し、ポジティブな将来性の評価を僕にしてくれました。
「今まであなたが迷い苦しんだプロセスがあるからこそ、これから出会う同じような人にも寄り添うことができる」
父のこの“③将来性の評価”があったからこそ、その後、教員や楽しい学校コンサルタントSecondとして、充実した日々を過ごせているのだと思います。
評価が人を救い、人生をよりよい方向に向かわせる……。
そう考えると、評価って素敵なものですね♬。
改めてリクエストありがとうございました~💛。
連載回数も残り少なくなってきましたが、可能な限りリクエストに応えていきたいと思いますので、お待ちしております~♪。