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次代を担う全国の若手教師が集まり、語り合う「若手教師・教育創造MTG」第2期スタート!
2023/12/15 09:30
2020年4月にスタートした、若手教師による対話のコミュニティー「若手教師・教育創造MTG(ミーティング)」は、23年10月に新たなメンバーから成る第2期のキックオフとして、第1回オンラインミーティングを開催。今回が初対面であることから、「互いを知る」ことを目的としたプログラムの下、活発な対話が行われた。その様子をリポートする。
答えが1つではない「教育」について、
学校や立場を超えて語り合う
オンラインミーティングの冒頭、VIEW next編集部 統括責任者の柏木崇が、「変化の激しい社会を生きる力を育む高校教育のあり方は、まさに答えが1つではない問いと言える。学校や立場の違いを超えて、高校教育のあり方や直面する問題の解決方法などを先生方同士で語り合っていただくことが、本コミュニティーを立ち上げた背景」と、コミュニティーの設立趣旨を説明した。
続いて、第1期(20年〜22年)のメンバーだった教師が、本コミュニティーにおける自身の活動を振り返り、「ここでは自分の知らなかった世界、価値観と出合えた。互いにリスペクトしながら学び合うことで、1年後、2年後には、間違いなくそれまでとは違う自分に成長できるし、生徒にも様々な形で還元できるはず」と、先輩メンバーとしてエールを送った。
その後、参加者全員の自己紹介を経て、最初の参加者同士の対話として、『VIEW next』高校版の連載コーナー「先生なら、どうしますか?」の読後の感想の共有が行われた。
勉強と部活動の両立に悩む生徒に向き合った教師のエピソードに対しては、「勉強を理由に部活動をやめたのに、実際は学習量が増えない生徒は少なくない。最後までやり抜くことが大切だと思う」「ここまでやり切ったと納得できるものがあればやめてもよいと思う」「勉強と部活動の両立が大変だ、受験は全国規模の戦いだと、教師が過剰に不安を煽っている面もあるかもしれない」などと、自身の指導経験を振り返りながら様々な意見が出された。
また、生徒の校則違反への対応にまつわるエピソードに対しては、「自分も、生徒指導は生徒理解のチャンスだと前向きに捉えている」「言動に表れている部分だけでは真の生徒理解とは言えないのだと、改めて思った」など、本エピソードの教師に共感する意見が出された。
課題意識のあるテーマについて
グループで対話
続いて参加者は、「進路指導」「探究学習」「主体的・対話的で深い学び」「働き方改革」の4つの中から、自分が最も課題意識を持っているテーマを1つ選び、テーマごとにグループに分かれて対話を行った。
「進路指導」のグループでは、「自分の成功体験に基づいたアドバイスをしないように心がけている。まずは目の前の生徒の言葉に耳を傾け、生徒が迷っている時に、『こういう道もあるよ』と、選択肢を増やしていくような進路指導がしたい」「教師の思いを伝える指導から、生徒の思いを引き出す指導への転換が必要であり、そのためには、面談などを通して生徒と対話を積み重ねていかなければならない」などと、一人ひとりが生徒と向き合う際の思いを語った。また、「生徒は自分のことを好きになった時、進路を切り開く力を発揮する。興味・関心を大切にしながら取り組む探究学習は、自分を好きになるチャンスであり、進路指導とも密接につながっている」と、探究学習と接続した進路指導の重要性を指摘する声も上がった。
「探究学習」のグループでは、「社会で求められていることと、高校で行われていることのギャップを埋めていくためにも、高校時代に実践的な学びを経験できる探究学習の価値は高まっている」「高校の探究学習を通して物事の見方が豊かになり、大学の学びが充実したものになったと、卒業生が話してくれた」など、探究学習の重要性を指摘する声が多く上がった。その一方で、「教師の足並みがなかなかそろわない」「探究学習に対する校内の理解は深まっているが、教科の学びにつながっていないことが悩み」などと、それぞれの学校の課題も語られた。
「主体的・対話的で深い学び」のグループでは、「これからの社会では、自分で考え、他者とかかわり合いながら行動することがますます求められる。その意味で、主体的・対話的で深い学びは重要だ」と、変化の激しい社会の現状を踏まえた学びのあり方として、主体的・対話的で深い学びの必要性を指摘する声が上がった。「授業の進度を優先するあまり、主体的・対話的で深い学びの実現が難しくなっている時もある」と、悩みを率直に明かす教師がいた一方で、「教師自身が主体的・対話的で深い学びを経験するために、教師同士で自由な対話を楽しめる場を1か月に1回程度校内に設けたところ、毎回約半数の教師が参加している」といったユニークな取り組みを紹介する教師もいた。
「働き方改革」のグループでは、過大な業務量の削減の必要性を認めつつも、教師としてのやりがいをいかにして高めていくかという視点で様々な意見が出された。「単純に業務を減らしていくと、これまでの教育のよさが損なわれてしまう。減らしてよい部分、効果的・効率的にしながら続けていく部分を見極めることが重要」という指摘に賛同しながらも、「それぞれの教師の価値観が多様であることも、様々な生徒を受容できる教師集団の条件だ。教師一人ひとりが大切にするものが違うことを認めつつ、働き方改革を進めることは、簡単なことでない」といった意見も出された。
この日、初めて顔を合わせた参加者だったが、活発な意見交換が行われた。ミーティング終了後、参加者からは、「学びも数多くあったが、それ以上に、初対面の先生たちに自分の取り組みについて聞いてもらい、『それ、いいですね』と認めてもらえたことが、すごくうれしかった」「最近、学校の様々なことについて、『今のままでよいのか?』と悩むことが増えていたが、このミーティングで同じような考えの先生にたくさん出会えたことで活力と勇気をもらった」などと、新しい出会いを楽しんだ声が多く上がった。また、「今回のミーティングで、ある先生に教えてもらった面接練習の方法を、学校で早速試してみたところ、指導にかかる教師の負担がかなり軽減できたと感じた。これからも、このミーティングで全国の先生方の考え方や実践を聞いたり、実際に訪問したりしながら学び、自校の生徒のためのオリジナルの教育を創っていきたい」と、今後の活動に期待する声も寄せられた。
12月下旬の「若手教師・教育創造MTG」の第2回ミーティングでは「進路指導」「探究学習」「主体的・対話的で深い学び」の3テーマの実践事例の共有を行う予定だ。共有された実践事例と、それを基にした参加者による対話の様子は、今回同様、本サイトでリポートする。