全国の中高生が探究や研究の内容を発表し、意見を交換して、多様な人と学び合う「ベネッセSTEAMフェスタ」が、2022年3月に開催されました。参加126チームの中から、注目の発表内容を紹介します。

新しい発想とテクノロジーで、過疎地域を活性化

ソーシャルイノベーション部門
岡山学芸館高校 過疎地域バスターズ
The Smart City Mimasaka

県内でも過疎化が深刻な岡山県美作市の地域活性化に向けた研究を行いました。最初に、地域経済分析システム「RESAS」を用いた調査により、美作市には、「人口減少と少子高齢化」「農業就業者の高齢化」「空き家の増加」「耕作放棄地の増加」という4つの問題があると分析。次に、現地調査を行い、3つの具体案を考案しました。

1つめは、空き家を有効活用した「ワーキングスペース」の導入により多様な人材を集めて生産年齢人口を増やすという案です。2つめは、IoTを利用して農業のオートメーション化や、耕作放棄地のデータベース化に取り組む「スマート農業」による次世代農業の推進です。そして、3つめは、ふるさと納税を活用して地域の魅力を発信するとともに、クラウドファンディングにより無人交通や宅配ドローンを整備する計画です。

それらの案の複合によって住民の暮らしの向上や移住者の増加がもたらされ、地域活性化につながると考えています。今後も実現に向けた研究を続けていきます。

各種データを分析し、問題点を抽出しました。

4つの対策を組み合わせて、相乗的な効果を目指します。

事業マッチングアプリの開発で「6次産業」を発展

ソーシャルイノベーション部門
金沢大学附属高校 SixTRONG BONDs
日本産業を救う1×2×3=6

1次産業の衰退に着目し、従来の産業の枠を超えた新たな産業を開発するための研究に取り組みました。先行事例として、1・2・3次産業を融合した「6次産業」について調査した上で、地域の農業団体や農業従事者にインタビューを実施。すると、6次産業に、売上の増加や安定といった魅力を感じる一方で、初期費用の高さや経営リスクの大きさなどから、手を出しにくい現状があることが分かりました。

そこで、1人で生産から販売までを担うのではなく、異なる企業が共同で事業を展開する「農商工連携」を取り入れることで、6次産業に参入しやすくなるのではないかと考えました。そのための仕組みとして開発したのが、異産業の企業をマッチングするアプリです。このアプリでは、自分の希望に合う企業を探したり、経営課題などに関して情報やアドバイスを受けたりできます。

今後は、県や市にアプリを提案して実証実験を行い、機能の修正や追加などを進めて、新産業の創出や地域活性化につなげたいと考えています。

アンケートの結果、農業関係者が6次産業に多くの利点を感じていることが分かりました。

多様な分野・産業の人とつながり、6次産業を始めるきっかけをつかめるアプリを考えました。

ベネッセSTEAMフェスタ事務局

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