全国の中高生が集結し、探究成果を発表。
同世代の仲間や社会人と交流して、気づきを得る!

2025年3月22日、「ベネッセSTEAMフェスタ2025」が、昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校にて開催されました。全国から25校約300名の中高生が参加し、探究活動の成果を発表し、各分野の専門家、企業人からアドバイスを受けたり、参加者同士が交流したりしました。同フェスタの様子を3回に分けてレポートします。

■開催概要
【日時】2025年3月22日(土)
【会場】昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校
【主催】株式会社ベネッセコーポレーション
【参加チーム数】中学校・高校 25校102チーム
【エントリー部門】
・アカデミック部門:学術的な探究心をもとに進めた探究・研究活動を発表する部門
・ソーシャルイノベーション部門:身近な気づきや問題意識から行動し、自分や周囲にもたらした変化を発表する部門
・メイカー部門:「創りたい!」という想いを形にし、表現する部門
【社会人サポーター】社会人や大学・企業の専門家14名
【プログラム】
・セミナーセッション
・開会式
・ポスターセッション
・ワークショップ
・ポスター代表発表
・閉会式

他校の仲間や社会人との対話から刺激を得る!

ベネッセSTEAMフェスタは、中高生の探究・研究活動を支援し、STEAMの実践を広めることを目的に2011年にスタートしました。中高生が他校の中高生と交流しながら自らの探究・研究成果を発表して学び合うだけでなく、各分野の専門家や企業人といった「社会人サポーター」も参加して対話を行い、探究を深めていきます。学校や世代の隔てなく参加者同士が交流しながら、新たな気づきを得られるイベントです。

毎年全国から多くの中高生が参加しており、今回は25校102チームが参加しました。ポスターセッションやワークショップに加え、新企画「セミナーセッション」も実施され、これまでにも増して活発な交流が行われました。

探究活動の悩みを社会人サポーターや他校生に相談

■セミナーセッション

まず「セミナーセッション」が行われました。これは今回初めての企画で、探究活動での悩みを持つチームが、専門的な知見を持つ社会人サポーターに相談するコーナーです。3つのエントリー部門に加え、探究活動全般の悩みを相談できる「探究全般」も設定し、計4つのテーマでセッションが行われました。
ここでは、1チームの悩み相談を紹介します。

さらにオリジナリティのある探究にするには?

アカデミック部門
発表タイトル「癒やしを感じる素材とは〜素材の触感的な違いが気分に与える影響について〜」
チーム名 奈良女子大学附属中等教育学校 チーム寺田

「チーム寺田」は、メンバーが中学2年生だった時、新型コロナウイスル感染症の蔓延により社会が混乱する中、動物園でうさぎに触れたところ、とても癒やされたという経験がありました。その後、メンバ―は、「モフモフ感は心理的・生理的ストレスの緩和に強く影響する」といった主旨の論文を読み、柔らかい毛並みの感触に触れることで、生理的・心理的変化が見られ、精神的なストレスが緩和されるのではないかと仮説を立て、次の2つの実験を行いました。

実験に使用した布を見せながら説明

アドバイスする福田准教授

【実験①】
1、安静時の血圧・心拍数測定
2、ストレス負荷(計算課題10問)を与えた上で、
血圧・心拍数測定、気分測定(アンケート調査8項目)を行った。
3、3つの条件を与えた上で(何も触らない、さらさらな布に触る、もこもこの布に触る)それぞれ血圧・心拍数測定、気分測定(アンケート調査8項目)を行った。
4、ストレスチェック(心理的ストレス反応を測定する質問)を行った。

実験①の結果、さらさらな布に触った時に最も心理的変化が見られた。血圧や心拍数の変化の傾向はつかめなかった。

【実験②】 
1、血圧・心拍数測定
2、ストレス負荷(鏡映描写課題10分間)を与えた。
ストレス負荷の前と最中に血圧・心拍数測定を計5回行い、
気分測定(アンケート調査)も行った。
3、2つの条件を与えた上で(プラスチックに触れる、さらさらな布に触れる)
それぞれ血圧・心拍数測定を3回行い、気分測定(アンケート調査12項目)も行った。
4、ストレスチェック(心理的ストレス反応を測定する質問)を行った。

その結果、さらさらな布に触れていた場合が、最も心理的変化が見られた。

社会人サポーターの東京都立大学の福田公子准教授は、実験手法について、「男女両方を被験者にした点や触覚以外の視覚などを遮断した点など、実験の基本的なルールを守っていた点がよかったです」と評価しました。

研究のレベルをさらに上げるために、福田准教授は次のようなアドバイスしました。
研究において、最も重要なのは結果ですが、その結果を導き出す過程も同様に重要です。今回、実験①で想定した結果が得られなかったため、実験手法を見直して実験②を行いましたが実験②では比較対象などを変えてしまいました。例えば、実験①では2つの布を比較したのですから、実験②でも2つの布にプラスチックを加えて実験した方がよかったと思います」

また、福田准教授は、触感に関する先行研究は多くあると指摘。「例えば、猫の動画を見ながら感触のよい布を触ることで癒やされるのかなど、触覚以外に何かもう1つ条件を加えて実験を行うと、新たな発見が得られるかもしれません」とアドバイスしました。

(中編に続きます)

ベネッセSTEAMフェスタ事務局

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