- 学校教育関係者全体向け
【連載】楽しい学び合い 第14回
「よい発表って、どんな発表? どう指導すればよい?」
合同会社楽しい学校コンサルタントSecond
ベネッセ教育イノベーションセンター客員研究員 前田健志
2022/11/25 09:30
皆さん、こんにちは!
2学期も後半になり、探究などで子どもたちが中間発表をしたり、研究大会などで先生方自身が発表されたり、「発表」という機会が非常に多い時期なのではないでしょうか?
リクエストでも、「よい発表ってどんな発表ですか? どう指導すればよいですか?」というお悩みをいただきました♬(ありがとうございます💛)。
僕自身、仕事をしていても、よくこの質問を受けます。
では、「よい発表」が何かを考える前に……。
「発表」の“目的”って何ですか? 何のために「発表」するのですか?
学校では、たくさん「発表」の機会が用意されており、もしかすると、「最後は発表するもんでしょ」みたいな感じになっていて、「発表」の“目的”ってあんまり意識しないようになっているかもしれません💦。
そして、「発表」の“目的”は、いつも同じではないですよね👍。
では、続けて質問です♪
“分かりやすい発表”って、「よい発表」ですか?
ギクってされた方もいらっしゃるかもしれません(笑)。
必ずしも“分かりやすい発表”が「よい発表」とは限りませんよね……。
発表の“目的”によって「よい発表」かどうかは変わってきます。
では、“分かりやすい発表”が「よい発表」となる場合ってどんな場合でしょうか?
例えば、オーディエンスが「○○について、よく理解していない状態」で、「理解したいと思っている状態」なら、“目的”は「オーディエンスに理解してもらうこと」なので、“分かりやすい発表”が「よい発表」ということになりますね♬。
ただ、「○○に全く関心がない状態」なのに、“分かりやすい発表”をしても、○○についての理解を深めてもらえる可能性は低いと思います……。
この場合の「発表」の“目的”は「○○に関心を持ってもらった上で、理解してもらう」ということになるので、まずは「○○」に関心を持ってもらうような「問い」や、図、写真などを用意する必要がありますね👍。
“目的”によって、効果的な発表方法(表現方法)は変わってきます♪。
例えば、ドラマって、きれいに分かりやすく終わらず、“あえて”謎めいた、モヤモヤした感じで終わることが多くないですか?
何で“あえて”こんな表現をしているのでしょうか? その“目的”は?
あたり前ですが、「『次回が気になる~、早く見たい~』って視聴者に思ってもらうこと」が“目的”ですよね♪。
(展開が完全に読めていたら、少なくとも僕は次週、見ません(笑))
「発表」でも、「○○に継続的に関心を持ってもらう」ということが“目的”であれば、“分かりやすく”終わるのではなく、“あえて”謎めいた、モヤモヤした感じで終わるのもありですね♬(特に中間発表とかでこれをやられると、「うお~、次も聞きに来たい!」って、僕はなります(笑))。
これって、「発表」にだけ言えることではなく、学校の授業などでも同じことが言えますよね👍。
“分かりやすい授業”が、必ずしも“よい授業”ではない、
“よい授業”かどうかは「目的」によって変わってくる……「発表」と同じですね💛。
こう書くと、何か高度なテクニックが必要……、みたいに思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これって我々、普段から実践しています。例えば……。
皆さんは「大好きな人💛」に、どうやって自分の感情を伝えますか? どんな表現方法を選びますか?(笑)
むちゃくちゃ皆さんの答えを聞きたい!!(今までで一番!!(笑))
ストレートに「好きです」と伝える場合も、もちろんあると思いますが、それ以外の表現方法を採られる場合も多いのではないでしょうか?
手紙、花束、贈り物、料理、サプライズ……、挙げればきりがないですね💛。
では、ここでもう1つ質問を……。
なぜ、その表現方法を選んだのですか?
皆さん、表現方法を選ぶ前に、「相手(大切な人)がどんな人か? 今どんな状態か?」を考えられるのではないかと思います。
相手が花を好きじゃないのに贈ったり、めちゃくちゃ忙しそうにしている時に呼び出したりしたら、逆に「何なん?」って、怒られるかもしれませんね(笑)。
授業づくりにおいても、「どんな子どもたちか? 今どんな状態か?(児童観・生徒観)」って、めちゃくちゃ大事にされていますよね👍。
そして、「相手(大切な人)がどんな人か? 今どんな状態か?」を考えることと同じくらい大事なことをもう1つ、されているのではないでしょうか?
相手(大切な人)に気持ちが伝わったかどうかを、どのように判断されていますか?
言い換えれば、「“目的”を達成できたかどうかを、どのようにして測るか?」という「問い」になるかなと思います。
「気持ちが伝わったかどうか」は、相手の表情や、その後の言動などで判断しますかね(笑)。
「発表」であれば、「本当に理解してくれたのか?」をチェックしてみてもいいですね👍。
ただ、“目的”を達成できることって、実際にはなかなかない……。
他者に何かを伝えることって、本当に難しいことです……。
(なかなか伝わらないから、よく夫婦げんかになる(笑))
だからと言って諦めるのではなく、目的を達成する“確率”を上げていくことはできます。「“目的”を達成するのに最も効果的な表現方法は何か?」を考えることによって……💛。
ここで改めて質問です(ラストクエスチョン)♬。
よい発表って何ですか?
いろんな答えがあるかもしれませんが……。
① 「発表」の目的が明確になっている
➁ 「相手(大切な人)がどんな人か? 今どんな状態か?」を考えている
③ 「“目的”を達成するのに最も効果的な表現方法(手段)は何か?」を考えている
④ 「“目的”が達成できたかどうかを、どのようにして測るか?」を考えている
という4つが、「よい発表」の最低限の条件にはなりそうな気がします♪。
そのように考えると、「発表」だけを見るのではなく、①~④のプロセスを踏んでいるかどうかを、ちゃんと見ていく必要がありそうですね👍。
改めてリクエストありがとうございました~💛。
連載回数も残り少なくなってきましたが、可能な限り、リクエストに応えていきたいと思いますので、お待ちしております~♪。