進学塾に通っているため、学校で学習する内容は簡単過ぎるようで、授業中の時間を無駄に感じている様子です。本人としては、学校は「給食と交友関係を楽しむ場」と割り切っているようです。塾と学校の授業のレベルにギャップがある場合、子どもには、学校の授業をどのように捉えさせたらよいでしょうか。
(質問者:神奈川県/小5男子・母)
A学校ならではの学びがあることを認識した上で、どうしたいのかを考えさせる
受験勉強が順調に進んでいるご家庭でよく耳にする問題です。
ご相談者のお子さんは、塾で知的好奇心が満たされていること自体は素晴らしいことだと思います。ただ、塾における、志望校合格といった「自分自身のゴールに向かって知識を積み上げる学習」と、学校における、「他者とともに学びを進める学習」では、学習のねらいや身につく力が異なります。
後者の学びは、自分1人だけで実現することは不可能で、学校という多様な子どもが集まる場だからこそできる学びです。そうした多様な人間関係がある場では、コミュニケーションスキルが身につくほか、友だちに教える経験も積むことができ、自分の理解をさらに高めることはもちろんのこと、社会性や情緒面での成長も期待できるでしょう。塾とは異なる学校で学ぶことの価値を、まずは保護者自身が理解しておくことが大切です。
その上で、本人に「どうしたいのか?」を考えさせましょう。子どもなりに意見は持っているでしょうし、先生との相性や、先生のその子に対する言動などについては、本人にしか分からないことも少なくないからです。中学受験に対して否定的な先生が子どもに厳しくあたり、つらい思いをさせているといったケースを聞くこともあります。
子どもの話には丁寧に、温かい気持ちで傾聴し、共感してあげてください。もし、助言を求められたら、「学校での学びは、将来、こんなことに生きてくるよ。こんな意味があるんだよ」などと、あくまで提案として伝えるとよいでしょう。