全国の中高生が探究や研究の内容を発表し、意見を交換して、多様な人と学び合う「ベネッセSTEAMフェスタ」が、2022年3月に開催されました。参加126チームの中から、注目の発表内容を紹介します。

高度による宇宙線到来頻度の違いを調査

アカデミック部門
豊島岡女子学園中学校・高校 ミューオンズ
高度による宇宙線到来頻度の違い

宇宙空間から降り注ぐ放射線である宇宙線に関心を持ち、高度による宇宙線到来頻度の違いを直接観測する研究を行いました。先行研究では、飛行機で約9㎞上昇すると、地上に比べて宇宙線到来頻度が15倍以上多くなることが分かっています。そこで私たちは、より小さな高度差でも差が見られるかを調べました。放射線があたると蛍光を発するシンチレーターによる検出器を用い、高層マンションの9階と29階、東京スカイツリーの展望回廊と2階のテラス、宇都宮と日光など、高度差・標高差のある複数の場所で計測し、その結果を比較しました。

すると、高層マンションの高層階と下層階では有意な差が見られず、東京スカイツリーの展望回廊と2階のテラス、宇都宮と日光では有意な差が見られました。また、調査を通して、温温度や気圧と、宇宙線の到来頻度にほとんど相関がないことも分かりました。

今後は、宇宙空間や海中などにも計測範囲を広げて研究を深めていきたいと考えています。

2台の検出器を用いて、両方を通過した宇宙線を計測しました。

東京スカイツリーでは、展望回廊と2階のテラスの宇宙線の到来頻度に、有意な差が見られました。

「かっこいい建築」の共通性を見いだして、模型を制作

メイカー部門
自修館中等教育学校 チームyou
かっこいい建築に住もう

中学生の頃から建築に興味を持ち、日本や世界の様々な住宅や建物を見学したり、インターネットで調べたりしてきました。そうして得た知識を基に、「かっこいい建築」という明確な定義のない事象に共通性を見いだし、多くの人が満足するスタイリッシュな家を提案したいと考えました。

研究では、色・素材・形の3つの要素に加え、空間的な余裕や遠近のメリハリなどを考慮し、実際に模型を製作しました。専門家に模型を見ていただいたところ、「周辺環境をどう捉えたか」「設計意図が伝わるか」「住む人のことを考えたのか」といった指摘を受けました。「かっこいい建築」とは何か、再度考えると、「光と影による建築への影響」「空間演出における、錯覚的アプローチ」といった点で多くの気づきがありました。最終的にはそれらを踏まえて、小学生の子どもと夫婦の3人家族を想定し、「隙間から差し込む光が、中庭を通して1階まで届く」「垂直な面に余白がつくられ、空間ができる」住宅を設計し、模型を製作しました。これからも「かっこいい建築」を追求し、様々なデザインを提案していきたいと思います。

人の影の動きによって、人間を感じるデザインの面白さに着目しました。

3人家族を想定した「かっこいい建築」の模型を製作しました。こちらは模型を斜め正面から見た写真。

こちらはベランダに差し込む光を捉えた写真。

ベネッセSTEAMフェスタ事務局

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