生徒の気づきと学びを最大化するPJに参加いただいている公立学校の校長先生たちと一緒に、かえつ有明高等学校の新クラス広尾学園高等学校の医進サイエンスコースを訪問しました。どちらも開校時からよりよい学校づくりを何度も議論してきた学校であり、ベネッセSTEAMフェスタには第1回目から参加している学校です。今回は定期考査期間中ということもあって授業見学は行わず、じっくり生徒たちと対話しました。

最近は中高生と対話すると、よく自己肯定感が話題になります。OECDや日本財団による「日本の若者は自己肯定感が低い」という調査結果を目にして、学校内外で自己肯定感について問題意識を持つ機会が増えたからかもしれません。今回は生徒たちとどのような対話になったのでしょうか?対話のトピックを幾つかご紹介します。

自己肯定感は高いほうがよいのか?多くの人にとって、自己肯定感はあったほうが幸せになれそうな気がする。しかし、自己肯定感が高い、低いという序列をつければ、かえって自己肯定感を損なうことがあるのではないか?

自己肯定感で大切なのは、良い状態であれ良くない状態であれ自分自身のことを受け入れられる自己受容、自尊感情だろう。では、自己受容が他者受容につながるにはどうすればよいのか?周りの自己肯定感を高めるような自己肯定感のあり方とは何か?

自己肯定感を個人の能力と捉えることが、しんどさを生み出していないか?たとえば、クラスメートが活躍すると自分の自己肯定感も上がるような学校文化を創ることはできないか?同調圧力ではなく、前向きなピアエフェクトを生み出し、集団の能力として自己肯定感を高めるにはどうしたらよいだろうか?

今回の対話では、単に自己肯定感の低さを問題にしたり、どうすれば自己肯定感を高められるかという問題解決を考えるのではなく、自己肯定感を様々な角度から捉えなおす機会となりました。機会をつくってくださった先生方、生徒の皆さん、ありがとうございました。

 

ベネッセSTEAMフェスタについて
毎年3月に実施している全国の中高生による探究的な学びのコミュニティです。当日のライブ配信の動画や生徒たちの取り組みを紹介しています。
代表チームプレゼン2022はこちらでご覧いただけます。
代表チームプレゼン2021はこちらでご覧いただけます。

小村俊平

ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター長

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