中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会が19日に示した素案では、「定額働かせ放題」とやゆされる教職員給与特別措置法(給特法)の枠組みを維持する方針が示され、抜本的な見直しは見送られることとなった。深刻化する人材不足を解消するためにも、素案で打ち出した負担軽減策の実効性が問われる。

「残業を減らすための法律改正をしてほしい。残業代の支給を決断すれば、確実に業務は減る」。現役教員や大学教授でつくる「給特法のこれからを考える有志の会」が同日記者会見し、メンバーで高校教諭の西村祐二氏はこう指摘した。

給特法を巡っては、時間外勤務を抑制する機能を働かせるためにも、働いた分だけ残業代を支払う仕組みに改めるよう求める意見が根強い。だが、特別部会は「教員はどこまでが職務なのか切り分けることが困難」とし、現行の仕組みは合理性があると結論付けた。

素案では長時間労働の是正に向け、小学校での教科担任制の拡大や、若手を支援するための中堅向けのポスト新設なども同時に示した。

文科省はこれまでも働き方改革の手だてを講じてきたものの、勤務時間の大幅な削減にはつながっていない。特別部会の貞広斎子部会長は、「(素案に)書いていることをいかに実装できるかだ」と語り、各施策を着実に実行することが重要と強調した。