子どもは私立高校に通っています。親である私たちが高校生だった頃に比べて、今は卒業後の進路について検討するタイミングがとても早いようです。

国公立大学を目指すのか、推薦入試での受験を考えているのか、それらによって、2年生からのコースが決まり、コースごとに授業内容も大きく変わるとのことです。

入学当初からコースについての説明があり、将来どのような仕事に就きたいのか、そのために、どのような大学に進学したいのかなど、高校卒業後の進路の検討を急かされているように感じています。

受験に不要な科目は、2年生から授業がなくなるとのことです。
高2でのコース選択は、どのようにして決めたらよいでしょうか?

(質問者:三重県/高1男子・母)

A変更可能な状態で仮決めしておきつつ、納得できるまで考え抜くプロセスは飛ばさない。

最近の高校、特に進学校では、大学受験対策に最低2年間は必要と考え、指導しているケースが多いようです。その背景には、子ども一人ひとりの思考が熟することを尊重しつつも、それを待っていては大学入試に間に合わないという学校の考えがあります。志望校は、途中での変更を「あり」として、可能な範囲で具体的に、早めに設定するに越したことはないと思いますが、受験教科を絞ると、それだけ受験できる大学が減ってしまうため、決定は慎重に行いましょう。そして、志望校の決定においては、本人が納得することが絶対に必要です。そのためのプロセスは、しっかり踏むようにしましょう。

志望校を固めるまでのプロセスは、大きく分けると、「〇〇になりたい」というゴールから逆算して決める場合と、子どもが今抱いている興味や関心事など、現在の状況を起点に将来の方向性や進路の選択肢を考えていく場合の2通りがあります。どちらがよいということはありません。子どものそれまでの経験や興味によって、または資質によって変わってくると思います。

特に明確な「なりたいゴール」がなく、現在の状況から将来の方向性を考えていく場合は、まず、今どのようなことに興味があるのかを、子どもに聞いてみましょう。そして、なぜ、そのことに興味があるのか、興味がある理由についても聞いてみます。できれば、「なぜ」を何度か繰り返してみるとよいでしょう。子どもの思考が深堀りされ、やってみたいことが見えてきます。例えば演劇が好きな子ならば、なぜ、演劇が好きなのか、どのような点が興味深いのかといったことを、「なぜ」を繰り返しながら聞いていきます。「日本には、舞台を気軽に見る文化がなさそうだから、演劇の文化を広げていきたいと思った」などと、進路につながり得る動機が見つかることがあるかもしれません。「実は演劇の歴史に興味があった」というように、好きなことが他の領域につながることもあります。好きな世界を深堀りすることから、大学選びや受験を少しずつ自分事化していくことができると、モチベーションも上がると思います。