息子は中学2年生です。成績を伸ばさなければいけない理由が理解できておらず、危機感を全く感じていないようです。テストが返却された時などの節目の度に、「次こそは!」とやる気を見せ、「1日2時間勉強する!」などと宣言するものの、実際は実行できずに終わってしまうことが多く、2学期の1回目のテストの勉強でさえ、まともに取り組むことができていませんでした。本人にやる気がないので、通信教育をさせたり、塾に行かせたりしても無駄に感じてしまいます。

(質問者:東京都/中2男子・父)

Aごく普通の傾向。思い悩まず、「褒めて励ます」声かけを

中学生、特に男子の場合は、勉強のやる気スイッチはなかなか入らないものです。程度の差こそあれ、スイッチが入っている子の方が少ないと言っても過言ではありません。理由は、発達段階上、自分の将来をまだ真剣に考えられていないため、勉強に対するモチベーションを保ちにくいからです。昔は、平均寿命が今よりも短く、15歳にもなれば大人と見なされている時代もありました。現在は、人生100年時代と言われるほどに寿命が延び、その分、子どもが大人へと成熟するまでに時間がかかるようになったと感じます。その傾向は先進国で共通しており、青少年が幼くなっているとの報告が聞かれます。やる気スイッチがなかなか入らないのも当然と言えるかもしれません。ご質問者のお子さんに限らず、よくある状況ですから、あまり神経質に考える必要はありません。勉強への意欲がないのは我が子だけではないという事実を、まずは親自身が理解しておきましょう。そして、やる気がないからといって強く叱ったり、感情的になったりすることは絶対に避けるべきです。よくない𠮟り方をすると、子どもはますます学習意欲がなくなってしまうだけです。親がすべきことは、意欲の低さを嘆いたり、𠮟ったりすることではなく、子どもの状況に共感したり褒められる部分を探して褒めたりすることです。例えば、子どもが「宿題が大変」と愚痴をこぼしたら、「大変だね」などと共感的な声かけをし、少しでも頑張っている時は、「頑張っているね」と褒めてあげてください。

また、比較的好きな教科、成績のよい教科を集中的に伸ばすことも考えましょう。もっと言うと、のめり込めるのならば、勉強以外のことでも構いません。親はつい、「今この瞬間から」「できていない部分を補うために」勉強させようとするものです。しかし、もっと長い目で見てみてください。好きなことに打ち込んでそれが得意になれば自分に自信がつき、様々なことに意欲的になります。興味・関心が広がれば将来の目的を見つけることができ、勉強にも興味を持つようになるでしょう。そうした子どもの姿を応援する態度を親が見せれば、親子の関係も良好になります。子どもの学習意欲を高めるためには、遠回りのように見えるやり方が、実は近道であるものです。

それでも、周囲の子どもと比較し、焦ってしまう方は多いと思います。気持ちは分かりますが、高校受験は人生の通過点に過ぎません。猛勉強して入った高校でうまくいかず、つまずくこともあります。ですから、とにかく人生を長い目で見て、今の学習意欲の低さを大ごととして捉え過ぎないでください。

塾については、勉強は嫌だけれども、塾に行くのは好きな場合があります。学校では得られない自分の「場」が塾にあることで、救われている子どももいます。さらに、塾は学校以外の先生や友人との人間関係を学ぶ場でもあります。そうした総合的な視点で、お子さんにとって塾にどのような価値があるのかを親子で民主的に話し合ってみてください。