- 学校教育関係者全体向け
【連載】楽しい学び合い 第1回
「探究」って何だろう
合同会社楽しい学校コンサルタントSecond
ベネッセ教育イノベーションセンター客員研究員 前田健志
2022/05/06 08:30
皆様、初めまして!(初めましての方じゃない場合はこんにちは(笑))
この4月から連載させていただきます、合同会社楽しい学校コンサルタントSecondの前田と申します。
会社の名前だけ言われても・・・と、思われる方もいらっしゃると思いますので、超簡潔に自己紹介をさせていただきます!
中学校や高校などで13年間教壇に立ち、2019年に学校や先生たちのサポートの専門職が必要だと思い、起業しました。
(当時、担任を持っていたクラスの子たちに「起業します」って言ったら、どんな反応したと思いますか?マンガでしか見たことない表情をしていました(笑))
今は、北陸中心に、70校を超える学校(幼稚園・小学校・中学校・高校・特別支援)のサポートをしております。
サポート内容は「探究」「カリキュラムマネジメント」「教科横断(STEAM)」「キャリア教育」「ファシリテーション」「地域連携」などなど多岐に渡りますが、ベースは先生たちの悩みに寄り添い、先生たちの「やりたい」を実現していく仕事です。
ご関心持っていただいた方は、コチラまで↓(超手作りホームページです(笑))
起業してから3年間で、先生たちのお悩みの中で最も数が多いのが・・・
「探究って結局、何?」「どう指導すればいいの?」
「なんでやらなきゃいけないの?」
「僕が学生の頃は、学校に探究なんてものはなかったから、やったことない」って声も、よく聞きます。
「探究」をものすごくハードルの高いもの、得体のしれないものと捉えていらっしゃる場合が多いのですが、実はものすごく身近で、自覚症状がないままに先生自身が「探究」されている場合も多いですよね。
今までの人生で探究したことないって人を探すのは至難の業です(笑)
先生方、大丈夫です!「探究」を経験済みなので、ちゃんと児童・生徒たちの探究に寄り添ってあげられると思います♪
と言っても、なかなか実感が湧かないと思うので、皆さんの経験(人生)を題材に、一緒に楽しく考えていけたらと思います。
そもそも皆さん、なぜ「学校の先生」という職業を選ばれたんですか?
それぞれいろんな背景、当時の事情、考え方があって、「学校の先生」という職業を選ばれたんだと思います。
たぶん、いろんなストーリーがあると思うので、むちゃくちゃ聞きたい~(泣)
「純粋に子どもが好き」とか、「成長著しい(変化の激しい)子どもたちの側にいたい!」とか、「子どもたちに楽しく学んでほしい」とか、「日本の教育を変えたる!」とか、消去法とか(笑)
消去法で「学校の先生」という職業を選ばれた方は、ぜひ、ほかにどんな選択肢が上がっていたのか、思い出してみてください!
実は、選択の裏側には、自分の大事にしている「価値観」が眠っていると思います。
閑話休題。
そのように、皆さんの職業選択の背景には、いろんな「思い」「価値観」とか、それぞれの「課題感」などがあるのだと思います。
実は、「探究」でも、そういった「思い」や「価値観」、「課題感」がスタートラインにもなり、「探究」を進めていく原動力にもなります。
また、先生になられてからも、いろんな「問い」や「悩み」を持って、毎日過ごされていると思います。
「どうしたら子どもたちが○○できるようになるかな?」
「○○って、本当に子どものためになっているんだろうか?」
「○○を進めていくにはどうしたらいいかな?」
「もっとほかにいい方法ないかな?」
などなど……挙げればきりがないくらい、先生の日常は、「問い」で溢れているのではないでしょうか?
まさにこれが「探究」のスタートです。
そして、「ほかの先生(学校)はどうしてるのかな?」と調べたり(情報収集・先行事例調査)、「○○ってどんなメリット・デメリットがあるかな?」って考えたり(整理・分析)、「よっしゃ○○やってみよう」って実践してみたり(まとめ・表現)、「次は○○した方がいいよね」って反省したり(振り返り)……。
まさに「探究」のサイクルを体現されていると思います。
もちろん、それは「先生」だけにあてはまることではなく、どの職業の方にも言えることです。
まさに「“生きること”そのものが“探究”」ですね。
そういった意味で、先生にとっても、「探究」はめちゃくちゃ身近ですよね。
得体のしれないものではなく、先生たちの今までの人生の中にちゃんと「探究」はあります。
ただ、人によって探究の「質」は違ってくると思います。
情報収集が足りなかったり、分析が甘かったり、やりっぱなしで振り返りをせず、同じ過ちを繰り返していたり……。
書きながら、自分にもグサグサ刺さりました(笑)。
子どもたちと一緒に「探究」される際、ぜひご自分の経験の中の「探究」を振り返ってみてください!
きっと素敵な気づき・学びがあると思いますし、今後の「探究」にも生きてくるのではないでしょうか?
ところで、せっかく職業の話が出てきたので、もう少し、職業について深掘りしていきたいと思います。
そもそも「教師」という職業はどのようにして生まれたのでしょう?
というか、他の職業も、どうやって生まれたのでしょう?
人類誕生とともに職業があったわけではないので、何かしらの背景・理由があって生まれてきているはず……。
例えば、今、子どもたちの間で人気の職業のユーチューバーって、どのようにして生まれたのでしょう?
そう考えていくと、職業が生まれてきた背景には、大きく分けて3つのパターンがあるのではないでしょうか?
(これはあくまで僕の考えなので、「そうじゃねえ」って意見、大歓迎です! 僕の学びになります! 引っかかることあったら、ぜひ、ご指摘ください)
1つめは、何か社会的な課題(「どうしたらいいか?」)があり、それを解決しようとするアプローチや役割(仕事)を果たす1つの形として生まれたパターン。
警察官や消防士などが典型的な例ですかね。教師も、元々はこのパターンで生まれてきたのかもしれません。
2つめは、「もっと楽しくならないかな?」「こんなんあったらもっと幸せになれるのにな」という思いから生まれたパターン。生活に絶対欠かせないわけではないのだけれども、あった方が、幸せな人が増える。先ほど出てきたユーチューバーやエンターテイメント関係がこれにあてはまりますね。
この2つのパターンでほとんどの職業誕生の背景をカバーできていると思うのですが、皆さん、3つめのパターン、思いつきますか?
3つめは、「なぜ、こうなっているんだ??」「本当はどうなってるんだ?」という疑問を解決(真理を追究)するために生まれたパターン。大学の先生・研究者が典型例ですかね。人間は「知りたい」という思いが強い生き物ですから、それも大事な職業ですよね。
あれっ、この3つのパターンって何かに似てませんか?
そうです。「探究」の形にそっくりなんですね。
それぞれ「問い」や「思い」からスタートしてますしね。
そう考えると、「職業」は、過去の人たちの探究のプロセスの中で生み出されてきたもの、って言えます。
まさに「探究」=「キャリア探究」
よく、「探究をどう進路指導につなげればいいですか?」って聞かれるんですけど、そもそも別物ではなく、繋がっているもの。
すべての探究は、「自分はこれからどう生きていくのか?」という問いが根底にあるんだと思います。
最後に、皆さんにお願いがあります。
これから月2回のペースで、連載させていただくことになっております。
読者の皆さんと一緒に楽しく学び合いながら連載していきたいので、ぜひ、皆さんから「○○について書いてほしい」とか、「○○で悩んでいる」とか、「この前書いていた○○なんだけど、私はこう思う」といった、ご要望・ご意見をいただけたら幸いです。
お問い合わせ|楽しい学校|石川県金沢市|Second|前田健志 (secondtanoshiigakko.wixsite.com)
お待ちしております~♪