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次代を担う全国の若手教師が集まり、語り合う「若手教師・教育創造MTG」第2期・2024年度・第1回、第2回オンラインミーティング・リポート
2024/11/26 17:00
2020年4月にスタートした「若手教師・教育創造MTG(ミーティング)」。全国から集った若手教師が自身の教育活動について報告したり、様々な教育課題について話し合ったりしているオンライン・コミュニティーだ。第2期2年目となる2024年度は、メンバーの若手教師が、自分が持っている問題意識や興味・関心に基づいて取り組むテーマを設定し、グループや個人で取り組むことが今年度の活動方針として定められた。どのようなテーマが設定されたのか、今年度のこれまでのオンラインミーティングの様子とともにリポートする。
◎これまでの活動
第1回オンラインミーティング 2024年7月12日(金)17:00-19:00(Zoom開催)
第2回オンラインミーティング 2024年9月13日(土)17:00-19:00(Zoom開催)
各メンバーが問題意識や興味・関心を語り、
今年度取り組むテーマを設定
24年度の「若手教師・教育創造MTG」は、各メンバーが自身の問題意識や興味・関心に基づいて今年度取り組むテーマを設定し、それに試行錯誤しながら取り組むことを通じて、自分自身をバージョンアップさせることを今年度の活動方針として定めた。そのため、1回目のオンラインミーティング(7月12日実施)では、日頃の問題意識や自分の興味・関心について、メンバー間で語り合った。そうして互いのことを知った上で、問題意識や興味・関心に共通点のあるメンバーと協働してテーマを設定して取り組むか、あるいは1人でテーマを設定して取り組み、その過程で必要に応じて他のメンバーと協働するか、取り組みの進め方もメンバー自身が決定することとした。
メンバーからは、「教えない授業に挑戦してみたい」「各教科内で行われている探究的な授業の手法や成果を共有する方法を考えたい」「生徒の主体的な学びを実現するための教師のかかわり方を議論してみたい」「その生徒なりの頑張りを正当に見取ることができるような、元気が出る評価方法を構築したい」「学力中下位層の生徒を勇気づける教科指導を考えたい」など、様々な視点で取り組みたいテーマ案が出された。それらのテーマ案を踏まえながら、メンバーは自分が取り組みたいテーマを改めて熟考し、さらに、ほかのメンバーと協働して取り組むかどうかを検討していった。そして、2回目のオンラインミーティング(9月13日実施)では、以下に紹介する4つのテーマがメンバーから発表された。
取り組むテーマ「授業において、生徒の力をどのようにして
借りれば、うまくいくのか」
(メンバー:北海道羽幌<はぼろ>高校・小山<こやま>知倫<とものり>先生、山形県立鶴岡中央高校・五十嵐<いがらし>雄大先生、山形県立山形北高校・柴田勝将先生、東京都立田柄高校・島田愛実<まなみ>先生、山口県立岩国総合高校・川端雄也先生、福岡県立筑紫丘高校・徳永拓也先生)
〈取り組みの概要〉
授業改善の方向性として「生徒の力を借りること」を打ち出し、実際に授業で試行錯誤しようとするメンバーが集まった。教師として授業に向けた教材研究には一生懸命取り組んでいるが、そうした教師の努力と生徒の学びの意欲・集中力は必ずしも比例するとは限らない。教師としての授業改善の努力は続けながらも、生徒に授業づくりに参画してもらうという発想の転換を図ることで、学びに向かう力を生徒から引き出せるのではないかと考えた。そこで、実践の計画としては、SNSなどを使って、自由進度学習などの事例をメンバー間で共有しながら、自分たちの授業で取り入れられるものは積極的に実践して、その成果や課題をグループで深めることとした。
取り組むテーマ「自学の質を高めるには」
(メンバー:栃木県立足利清風高校・田島<たじま>祥行<よしゆき>先生、福井県立勝山高校・片矢雄大先生)
〈取り組みの概要〉
「自分で学ぶ」という行為の質をどうすれば高めることができるかを考えてみたいメンバーが掲げたテーマ。例えば、予習の質の向上は、教師のどのようなかかわりで実現するのか、その時、生徒の学習は、生徒が自らの試行錯誤を楽しむことができる探究的なものになっているのかといった問いについて、クラスという集団の力も利用しながら考えていくこととした。また、単に大学入試に必要な学力の向上にとどまらず、高校卒業後、様々なキャリアを経ていく中でも学び続けることができる、言わば人生を通じた自学の力も授業で養う試みを模索していく計画だ。
取り組むテーマ「学校横断型の教員研修」
(メンバー:北海道・私立旭川明成高校・佐藤卓也先生、東京都・私立多摩大学附属聖ヶ丘中学高校・出岡<いずおか>由宇<ゆう>先生、広島県・私立如水館<じょすいかん>中学高校・田栗和馬先生)
〈取り組みの概要〉
探究的な学習者を育てるためには、教師の資質向上は欠かせないと考えたメンバーが、生徒への声かけについて学ぶための合同教員研修の実現を目指してチームを結成した。例えば、教師が生徒に意図的に「知らない・分からない」「教えて」といった言葉をかけ、教師の求めに応じた生徒のアクションを「すごいね」「また教えて」と認め、さらなる成長を促すような教師のかかわり方について学ぶ場をつくる計画だ。進路実現や成績向上といった側面とは異なる、生徒と教師の直接的なかかわりを強化して生徒の成長を支援する試みと言える。
取り組むテーマ「教師による教育実践の発信と共有について」
(メンバー:市立札幌藻岩高校・對馬<つしま>光揮先生)
〈取り組みの概要〉
保護者・地域・学校のよりよい関係づくりのためには、生徒が成長していく姿を保護者や地域の方に知ってもらうことが肝要であると考え、学校行事や部活動の様子に加えて、日々の授業の様子を発信することにも力を入れたいと、自身の教育実践を積極的にウェブ上で公開することとした。実践に対する外部の反応を知ることで、教師自身にとっても新たな気づきを得ることができるのではないかという期待を込めた実践だ。
今後、メンバーはそれぞれのテーマに取り組み、24年度中には、「若手教師・教育創造MTG」のメンバー全体で、取り組みを通じて得られた成果や気づきを共有する予定だ。既に他のメンバーからのアドバイスを生かして授業改善に着手したメンバーもいる。各テーマの取り組みの状況は、逐次リポートしていく。