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【連載】楽しい学び合い 第13回
「これからの進路指導ってどうすればよいの? 進路を決められない子に、どうやって接すればよい?」
合同会社楽しい学校コンサルタントSecond
ベネッセ教育イノベーションセンター客員研究員 前田健志
2022/11/11 09:30
皆さん、こんにちは!
私事ですが、先日、39歳になりました🎉。
こんな39歳でよいのだろうか……。
高校生の頃に思い描いていた将来像と全然違う……(笑)。
皆さんは、高校生の頃に思い描いていたキャリアを歩まれていますか?
200人ほどの大人の方にこの質問をぶつけてきましたが、思い描いていたキャリアを歩まれている人はわずか1%(笑)。
僕を含めたほとんどの方は、学生の頃には想像だにしなかった人生を歩まれているみたいです(笑)。
なぜ、思い描いていたキャリアを歩まなかったんでしょう?
・○○を目指し、努力したけれど、なれなかった。だから違うことにチャレンジした……。
・○○を目指し、努力して目標は達成した。けれど、それが思い描いていたことと違ったので、別のことにチャレンジした……。
・■■を実現するには○○しかないと思っていたけれど、違ったアプローチもあることを知った……。
・自分は■■に関心があると思っていたけれど、■■よりも△△に、もっと関心を持つようになった……。
・■■だけでなく、△△や☆☆にも関心があるので、最初は■■1本に絞ろうと思っていたが、△△・☆☆も、していきたい……。
などなど、いろんな理由があると思います👍。
挫折したり、迷ったり、試行錯誤したりしながら“仮の結論”を出し、行動しては立ち止まって振り返り、新たな自分の一面を発見したり、自己変容を感じたり、「自分がこれからも大切にしたい価値観は何か?」「自分はどう生きていきたいのか?」を考えながら、展望を開いていく……。
連載1回目にも書きましたが、これ、まさに「探究」ですね♬。
ということは、プロセスそのものに学びがあり、価値がある♡。
ただ、これも以前書きましたが、「探究」には“深さ”の違いがあると思います。
自分を深掘りしなかったり、情報収集が足りなかったり、選択肢を吟味しなかったりすると、浅い「探究」になってしまいます。
では、生徒が進路を考える際、先生たちはどう接すればよいのでしょうか?
「予測不可能な社会」と叫ばれるようになってから、進路指導で悩まれている先生方は、以前より増えた気がします。
リクエストでもこのお悩みが多かったので、今回取り上げさせていただきました♬。
先生たちの接し方も、「探究」の時と同じですよね♡。
何かを「教える」のではなく、生徒に関心を持って、「問い」をぶつけながら、子どもたちの「進路探究」に伴走していけばよいのではないでしょうか?
「問い」によって、子どもたちはハッとしたり、視野が広がったり……。
子どもたちと一緒に、このプロセスや子どもの変容を楽しんでいけばよいのではないでしょうか?
ところで、次のような志望理由を書く生徒をよく見かけませんか?
「幼い頃、病院で看護師さんに優しくしてもらったから、その看護師さんのように、子どもに寄り添い、助けてあげられる立派な看護師になりたいです」
皆さんだったら、この志望理由にどんなツッコミを入れますか?(笑)
「ほかにも子どもに寄り添い、助けてあげられる職業があるのに、なぜ、看護師でなくてはいけないんですか?」
僕だったら真っ先にそれを聞きます。
あとは……、
「あなたが助けたい子どもはどんな子どもですか?」とか、
「その看護師さんの寄り添い方、助け方って、具体的にどんな行動だったんですか?」
などなど……。
ツッコミが溢れてきますね♡。
早くになりたいものや進路を決めている子どもの中には、自分が大切にしている価値観の深掘りをしていなかったり、いろんなアプローチがあることを考えずに、「○○になりたい」と決め切ってしまったりしている子も少なくないと思います。
進路が決まらず「う~ん、どうしよう? 自分は何がしたいんだろう?」と悩んでいる子どもの方が、たくさん「問い」を立てて、学んでいるかもしれませんね♬。
例えば……、
「自分が一番充実していると感じる時はどんな時だろう? それはなぜだろう?? どういう要素があれば、自分は充実していると感じるのだろう??」とか、
「自分はなぜ、□□に関心があるんだろう? □□と自分は、どういうふうに向き合って生きていけばいいんだろう?」とか……。
「あんまり自分は□□に充実感を得られなかった」という経験も無駄ではありません。
「なぜ、充実していると感じなかったのか? どういう要素が欠けていると、自分は充実していないと感じるんだろう?」みたいに考えていくと、自分の大切にしている価値観が浮き彫りになってくるかもしれません👍。
なので、探究の時と同じく、子どもたちにたくさん「問い」をぶつけてください♬。
「○○になること」は目的ではなく、手段なので代替可能です。
「○○になれなければ、自分らしく生きていけない」なんてことはないですよね👍。
小さい頃から、「将来何になりたいの? 攻撃(笑)」を浴びて生きてきていると思うので、「○○になること」を目的にしてしまうのも致し方ないかもしれません(少なくとも僕はそうでした(笑)。
先ほどの看護師を志望している生徒も、看護師になることが目的ではなく、「子どもに寄り添い、助けたい」というのが目的。
であれば、目的である「子どもに寄り添い、助けたい」という自分の価値観を深掘りしていくことが、まずは大事ですよね👍
「子どもって、具体的にどんな子ども?」
「子どもに寄り添うって、どういうこと?」
「子どもを助けるって、どういうこと?」
「どうしたら、“寄り添えた・助けてあげられた”と感じ、自分が充実しているなって思えるの?」
「そのために、自分は何をしてきたの? 子どもたちにどうやって寄り添って、助けてきたの?」
「今の自分の課題は? 目的を実現していくために自分が学んでいきたいことは?」
などなど……。
そうやって自らに問い、自分を深掘りしていくと、自分らしい素敵な志望理由になるのではないでしょうか?
まさに「自己探究」(くどい<笑>)。
今、この文章を書いていて、高校の現代文で出てくる丸山真男の『であることとすること』を思い出しました!
「丸山真男スゲ~」って、39歳になって、その偉大さに気づきました(笑)。
「であること」よりも「すること」を考えることの方が大切。
それは子どもたちだけでなく、我々大人にも言えることだと思います。
「教師であること」「○○であること」を取っ払って、最後に問いたいと思います。
もちろん自分自身に対しても……。
自分はどのように生きてきたのか? これから何をするのか? どのように生きていきたいのか?
これからも、それらの「問い」について、子どもたち、先生たち、そのほかの大人の人たちと一緒に悩み、試行錯誤していきたいと思います♪
改めて、リクエストありがとうございました~💛。
次回以降もリクエストにどんどん答えていきたいと思いますので、お待ちしております~♪。