- 学校教育関係者全体向け
【連載】楽しい学び合い 第10回
“どうやったら周りを巻き込める? よいチームとは? 協働の価値とは?”~part3~
合同会社楽しい学校コンサルタントSecond
ベネッセ教育イノベーションセンター客員研究員 前田健志
2022/09/23 09:30
皆さん、こんにちは!
なんと、本連載は今回で10回目を迎えました~(わ~い! パチパチ~👏)。
いつも僕のしょうもない文章におつき合いいただき、ありがとうございます♬。
最近、「いつも楽しく見ているよ~」と、わざわざ連絡をくださる先生方もおられて、書くモチベーションが上がっております!
それにしても、「モチベーション」をコントロールするのってホント難しいですよね……。
モチベーションの“波”が全く無い人って、この世にいるんでしょうか?
(悟りを開かない限り、無理な気がする…… (笑))
それって個人だけでなく、チームも同じですよね👍。
結成当初は、チームのモチベーションが高いことが多いですが、それはずっとは続かない……。
「停滞期や後退期があることは、チームにとってもあたり前」、
それって意外と忘れがちなことじゃないですか?
その「あたり前」を忘れてしまって、「モチベーションを上げろっ!」って周りに強要し、かえって周りのモチベーションを下げてしまい、チームがバラバラになったり、自分自身がしんどくなったりした経験はありませんか?
僕はめっちゃあります(笑)。
何事においても、ずっと右肩上がりの成長はあり得ない……人間だもの♬。
ただ、停滞期や後退期に何もしないと、ますます後退していく場合も往々にしてあります。
では、どうすればいいんでしょうか?
皆さんは、自分自身やチームのモチベーションの停滞期や後退期に、どんなことをして、再びモチベーションを上げていきましたか?
皆さんの答えが聞きたい……。
いつも「聞きたい! 聞きたい♬」って言っていますが、その理由は、皆さんの回答の中には、僕の思いつかない答えや視点があるからです。
だから対話とか協働って、価値があるんですよね♪。
たとえ答えや視点が同じだったとしても、「一緒や~」って安心したり、共感したりすることができる♬。
「違いを楽しむ、同じを楽しむ」、
違っても同じでも、どちらにしてもお得ですね(笑)。
話を元に戻して、ある学校の事例を見ていきましょう。
福井県の○○○○学校では、「総合的な探究の時間」の計画を立てる際、「停滞期」は必ずどこかでくるということを前提にしています。
子どもたちが途中で壁にぶつかり、悩み、モチベーションが下がることを前提に計画を組んでいるんです。
人生を振り返ってみて、物事がうまくいっている時とうまくいかない時、どちらの方が学び多き時間になっていましたか?
物事があまりうまくいっていない時の方が、より深く考える場合が多いので、振り返ってみると、学び多き時間だったと思うことはないですか?
先ほどの学校の先生たちも、「停滞期」が学び多き時間になると考えて、計画の前提としていらっしゃるんですね👍。
そしてその「停滞期」に、いろんな人たちと悩みを共有することのできる対話の場を設定したり、外部(非日常)の刺激に触れられるようにしたりするなど、いろんな起爆剤の準備をされています。
「停滞期」にちゃんと悩みを共有したり、対話したりすることができる場がある……。
日常と非日常のリズムがある……。
今までよいチームの条件を皆さんと探ってきましたが、それらもよいチームの条件かもしれませんね。
繰り返しになりますが、「停滞期やモチベーションの変化が全くない」チームって、存在しないと思いますから……。
さあ、ようやく本題です(嘘やろ……、もう紙面がちょっとしかない…… (汗)。
モチベーションが高まったせいで、問題が起こることもあるんですね……(笑))。
前回、「それぞれの得意なことを活かし合う、役割を果たし合うだけでは、よいチームにはなれないんじゃないか?」という問いについて、400メートルリレー日本代表の話を題材にしながら、考えてみました。
ピーター・M・センゲ氏の名著『学習する組織 システム思考で未来を創造する』(英治出版)でも、それぞれが役割を果たし合うだけでは、組織が学習障害を抱えてしまうことを指摘しています。
今までの連載で全く引用などしてこなかった僕にしては珍しく、少し『学習する組織』の抜粋を載せておきますね♬。
職業は何かと聞かれると、たいていの人は、自分が毎日どういう職務を行っているかを話すばかりで、自分の属する事業全体の目的については語らない。……中略…… 組織内の人たちが自分の職務にだけ焦点を当てていると、すべての職務が相互に作用したときに生み出される結果に対して責任感をほとんどもたない。そのうえ、結果が期待はずれだった場合に、その理由を理解するのが非常に困難となる。「誰かがへまをした」と決めてかかることしかできないのだ。
……中略……
「悪いのはあちら」症候群は、実は「私の仕事は○○だから」障害とそこから醸成される非システム的な世界観の副産物である。……中略…… 「悪いのはあちら」というのは、ほとんどの場合、物語の一面にすぎない。通常、「あちら」と「こちら」はともに、一つのシステムの側面なのである。
難しい分厚い本ですが、僕の人生を変えた本のうちの1冊なので、よろしければぜひ~💛。
そして、前回の最後の方で、
皆さんだったら、どうやって自分のチームの役割分担の隙間を埋めますか?
という「問い」を出しました。
なんと、前回出した宿題にも回答してくださった読者の方がいらっしゃいますので、ご紹介させていただきます💛(本当にありがとうございます)。
「うちの学校はこれまで、各部署や各教科、各学年などが完全に縦割りになっていて、校務分掌間のコミュニケーションが足りず、対立が起こったり、雰囲気が悪くなったりしていたので、その間をつなぐコーディネーターのような分掌をつくりました」
いいですね~!!
僕が知っている学校でも、校内に「校長の右腕」とか、「キャリアコンシェルジュ」など、名称は様々ですが、分掌間や教師同士をつなぐ役職を置くところが増えてきました♪。
ほかにも、分掌とは別に、プロジェクトチームを立ち上げたり、全分掌を貫く新たな部署をつくったり……。
縦割りの弊害を打破しようという取り組みが、学校の中でもどんどん増えてきています♬。
複数担任制など、「あえて役割を重ねる」形を採り、役割分担の隙間を埋めようとされている学校も珍しくなくなりました👍。
とは言っても、そういったことを実践するのはなかなか難しい……と、
お感じになる先生方も少なくないと思います。
協働を続けようとしても、ある病気が邪魔をしてくるんです……。
「自分1人でやった方が早い病☠」。
僕自身、何百回もかかった病気です(笑)
(今もこの病に襲われそうな時は幾度となくありますが(笑))。
その時にはいつも、ある映画監督の言葉を思い出しています。
「大事なことは、大体面倒臭い」。
民主主義もそうですよね👍。
人間は歴史から学び、あえて今、この面倒臭く、難しいものにチャレンジしている……。
ただ、1人でチャレンジし続けるのは難しいので、周りの人たちと一緒に、「違いも同じも楽しみながらチャレンジしていける」ようになればと思っております💛。
ちなみに本連載も、1人ではチャレンジし続けられないので、これからも皆様からのリクエスト、ご質問、ご意見、お待ちしております~(笑)
(今回はモチベーションが上がっちゃって、いつもとテイストが違ってすみません……)。