渡辺 健太

ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長

詳しいプロフィールはこちら

【関連する時事通信ニュース】大学の年内入試、面接義務化=「一般選抜前倒し」問題視―文科省

文部科学省は2026年5月27日、2027(令和9)年度大学入試のガイドラインにあたる「大学入学者選抜実施要項」を公表した。また併せて、大学入学者選抜協議会(文部科学省が設置する、大学と高校の代表者らで構成される会議体)から大学長向けに、「大学入学者選抜実施要項の遵守についてのお願い」と題した要請文が出された。「年内入試面接必須化」という点のみが注目されがちだが、2年間の移行措置があるため、受験生が直ちに大幅な準備変更を迫られるわけではないことに注目したい。

参考資料:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/1346785.htm

現高3生が受験する2027年度入試への影響は?

まず一番気になるのは、主に現高3生が受験する2027年春入学に向けた2027(令和9)年度大学入試への影響だ。今回の公表内容では、前年の2026(令和8)年度入試で既に実施されていた選抜区分で2027(令和9)年度入試から面接を導入することが難しい場合は、遅くとも2029(令和11)年度入試までに面接を導入する、また、非公募型(指定校推薦など)は大学の実情に応じて面接の要否を判断できるとあり、既存の選抜区分に急な変更を加える必要がないため、現高3生への影響は限定的であると予想される。その上で、現時点で2027(令和9)年度入試で新たに教科・科目に係る個別テストを課す年内入試を導入することを予告している大学・募集単位については、今回の発表を受け、最終的にどのように決定するかについては、今後、各大学が公表する最新の入試要項を定期的に確認する習慣をつけておきたい。

今後、高校現場に求められることは?

今回の発表は、大学側にとっては年内入試において「面接を課すことを条件に」教科・科目に係る個別テストの実施がしやすくなったようにも捉えられる。高校現場からの反応などから年内入試での教科・科目に係る個別テストの導入を躊躇していた大学にとっては、今回の発表は導入加速の契機となりそうだ。それを受けて高校現場では、(1)生徒とともに各大学の入試要項、最新情報を必ず確認すること(2)面接の有無にかかわらず、早めに大学での学びと将来像を結びつけて言語化しておくことが求められる。結果として面接が課されなかったとしても、進学後の学びについて考えておくことは志望校決定において必要不可欠である。

各大学が入学者選抜をどう位置づけていくのか?

今回の発表を受け、「志願者の能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定する入試方式」として、選抜方法が画一的になり、各大学のアドミッションポリシーに基づいた多様な入試ができなくなることが懸念される。大学入試は、大学で学ぶ上で必要な能力・意欲・適性があるかどうかを評価・判定するものである。社会で求められる人材像も多様であるように、各大学で育てたい学生像は多様であるため、各大学における入学者選抜のあり方の自由度が担保されるべきだと考える。高校教育と大学教育の円滑な接続を図る観点から設置された「大学入学者選抜協議会」を始め、今後の議論の行方にも注目したい。

【関連する時事通信ニュース】大学の年内入試、面接義務化=「一般選抜前倒し」問題視―文科省