渡辺 健太

ベネッセコーポレーション 学校カンパニー 教育情報センター長

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文部科学省は2026年9月15日、「令和7年度 産業イノベーション人材育成等に資する高等学校等教育改革促進事業の採択結果一覧」を公表した。6月30日までに公表された改革先導拠点(以下、先導拠点)75拠点に加え、新たに追加公募第1回申請分を含む60拠点が追加され、合計43道府県の先導拠点135拠点とそれぞれの協力校が明らかになった。これまで先導拠点が未採択だった愛知県、奈良県、鳥取県、佐賀県、沖縄県の5県からも新たに採択され、「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」は全国的な広がりを見せている。

先導拠点に採択された学科ごとの内訳は、多い順に普通科61校(対前回+27校)、工業科39校(+17校)、農業科24校(+10校)となっており、前回までの傾向を維持している。また、教育委員会が設置する茨城県・遠隔配信センター、石川県・奥能登未来創造センター(仮称)、長野県総合教育センター、佐賀県・さが多様な学びデザインセンター(仮称)、大分県・大分県教育長遠隔教育配信センターの5拠点(すべて類型3)が採択されており、学校単体だけでなく、地域・県全体で教育改革を推進する体制づくりが加速している。

参考資料:高等学校教育改革促進基金:文部科学省

採択結果:令和7年度 産業イノベーション人材育成等に資する高等学校等教育改革促進事業 採択結果一覧(追加公募第1回申請期限まで)

類型ごとの予算規模から見えること

類型ごとの内訳は、以下の通りである。

・類型1(アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援):69拠点(対前回+29拠点)
・類型2(理数系人材育成支援):37拠点(+18拠点)
・類型3(多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保):32拠点(+15拠点)※

※北海道有朋高校(類型2・3)、京都市立京都工学院高校(類型1・2)、大分県立情報科学高校(類型1・2)は2つの類型に採択されているため、延べ件数は138件

各先導拠点の予算規模を類型別に比較すると、実習環境のDX化・高度化を主とする類型1は、学習支援や遠隔教育等のソフト面・体制構築を主とする類型2・3に比べ、予算規模が大きい傾向にある。

また、各類型と連携して「学校と地域が連携・協働した学力向上・学習支援」事業を実施する拠点として、類型1:33拠点、類型2:19拠点、類型3:26拠点、合計75拠点(複数類型採択3校を含むため、合計は78件となっている)が採択されている。外部専門家による学習支援、地域資源を活用した各先導拠点の学習支援の取り組みが各類型の施策と絡めて実践されていくことになる。

令和10(2028)年度新設の大阪府立新工業高校(仮称)が先導拠点に

今回、大阪府の先導拠点として採択された大阪府立新工業高校(仮称)は、事業計画名「ロボティクス技術の利活用で未来社会の課題解決を実現する次世代産業人材の育成」を掲げている。本事業の先導拠点として新設校が選ばれた点に注目したい。同校は2028年の開校に向けて、IT、エレクトロニクス、メカニクス、ロボティクス、ライフマテリアル、デザインクリエイトの6専攻(現時点での仮案)を設置する予定だ。類型1が目指す「地域の経済社会を支えるエッセンシャルワーカーの育成」を体現するモデル校として、新設校がいかに既存の枠組みを超えた教育を展開できるか、今後の動向から目が離せない。

【参考資料】大阪府立FIORA(フィオーラ)高等学校(仮称)-令和10年度開校予定

全国の先導拠点・先導校の今後の具体的な取り組みに注目

既に文部科学省ではN-E.X.T.ハイスクール先行ページを公開しており、先に採択が決まった一部の先導校の取り組み内容も閲覧できる。各校の「改革が必要な背景」や「事業概要(学びの変化)」、「高校生の未来の姿(指標の例)」、「主な連携機関」といった情報は、先導校のみならず、次期学習指導要領を見据えて「学校設定科目」の検討などを行っている学校にとっても大いに参考になるのではないだろうか。

【参考資料】N-E.X.T.ハイスクール|文部科学省