次期学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」を掲げた現行要領の理念を継承しつつ、社会の変化や子どもの個性に応じて教育課程を調整可能にするものだ。柱の一つとした「実現可能性の確保」のためには、学びの質を落とさず、どこまで教科書の内容を精選できるかが問われることになる。

教育現場では近年、教える内容が授業時数に比べて過剰となる「カリキュラム・オーバーロード」の問題が指摘されている。一方、かつて学習内容を大幅削減した「ゆとり教育」は、学力低下を招いたとして厳しい批判を浴びた。こうした経緯もあり、今回の改定は小中学校の標準総授業時数を増減せず、学習内容の精選と教育課程の柔軟化で「余白」を生み出す道を選んだ。

ただ、柔軟化がそのまま負担軽減につながるとは限らない。多様な子どもの置かれた状況を分析し、授業時数や教育課程を効果的に組み替えるには、時間やノウハウが必要だ。余白を生み出す改革そのものが新たな仕事を増やし、現場の負担感につながれば本末転倒になる。

高校入試が単純な知識の量を問う出題を続けるなら、分厚い教科書を網羅的に教える授業からの脱却は難しい。改定の成否は、学習内容の精選だけでなく、学びを取り巻く周辺環境の整備をどこまで同時に進められるかが焦点となりそうだ。(時事通信社会部・太田宇律)。