齋藤 輝之

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【関連する時事通信ニュース】全国学テ、平均正答率公表=割合問題や読み取りに課題―文科省

026年7月16日、「令和8年度全国学力・学習状況調査」の結果が公表され、各教科の平均正答率やIRTバンド分布などの全国データが示された。今回の調査では、3年ぶり(令和5年度以来)の実施となる中学校英語において「聞くこと・読むこと・書くこと・話すこと」の4技能すべてでCBT(Computer-Based Testing)による調査が大きなトラブルなく行われ、調査手法のデジタル化が進んだ。

各自治体や自校の平均正答率が「全国の平均正答率より上か下か」といったことが気になるところだろうが、本記事では授業改善に生かす視点で、公表されたデータを読み解いていく。

公表された全国の正答率・IRTスコアの分布(図1)を見ると、小学校算数及び中学校数学において、中位〜下位層のばらつきが大きく、個人差が開いている状況が読み取れる 。

【出典】文部科学省・国立教育政策研究所 令和8年度全国学力・学習状況調査の結果公表①のポイント

特に個人差の大きかった中学校数学において、最も無解答率が高かった問題(39.0%)では、データ量が1000MBになるときの動画の時間を求める方法の説明が求められた。また、2番目に無解答率が高かった問題(28.5%)では、2つの度数分布多角形の形と位置を比較し、データの傾向から主張の理由を説明することが求められた。
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いずれも求められていることの説明を記述する問題だったが、正答率は4割に届いていない。答えを導き出す計算力だけでなく、「問いを理解し、思考のプロセスを整理して、根拠を添えて他者に伝える力」をどう育むかが課題と言えるだろう。

そうした力を児童生徒に育むためには、日々の授業をどのように改善していくとよいのだろうか。そのヒントとして、弊誌『VIEW next』教育委員会版で取り上げた、次の2つのアプローチが参考になる。

1「答えまでの距離が長い大きな問い」を設定する
京都大学大学院の石井英真(てるまさ)教授が解説するように、個別の知識や計算手順を問うのではなく、児童生徒が試行錯誤しながら思考を深められる「大きな問い」を投げかけることが知識の統合や思考の活性化を促す。
参考:「答えまでの距離が長い大きな問い」が子どもの思考を活性化し、知識の統合を促す『VIEW next』教育委員会版 2026年度 Vol.1 特集 有識者解説

2「問い」と「振り返り」をセットで深める
全国学力・学習状況調査の記述式問題で例年高いパフォーマンスを示す秋田県のように、授業の導入で本質的な「問い」を投げかけ、単元ごとに自らの思考プロセスを言語化する「振り返り」を探究型授業で組織的に実践する。
参考:「問い」と「振り返り」で深い学びに導く探究型授業を組織的に実践『VIEW next』教育委員会版 2026年度 Vol.1 特集 事例1

全国的に課題のある記述式問題以外にも、各自治体や各校で独自の課題があるだろう。では、各校の担当教員が授業改善に生かせる分析をできるようにするためには、どのような工夫が必要なのだろうか。次の長野県飯田市の分析が参考になる。

長野県飯田市では、全国学力・学習状況調査の結果をどのように分析すれば授業改善に生かせるのかを、各校の研究主任が理解し、それを校内研修で実践できるようにするために、研究主任会を実施している。同会では、「できるようになりたい“この1問”」をそれぞれで持ち寄りながら、具体的な授業改善や支援を考えるワークショップを行っている。同会で実践したことは校内研修で共有され、それを児童生徒との振り返りにも反映させることで、個人票の返却時の子どもとの面談の質を引き上げている。
参考:データの分析手法を実践的に学ぶ機会を設け、各学校の研究主任による授業改善を後押し『VIEW next』教育委員会版 2024年度 Vol.2  特集 事例1

正答数の分布グラフを用いて、学力層ごとにスポットライトを当てて分析

各校の研究主任が選んだ「できるようになりたい“この1問”」と「授業改善案」をクラウド上で集約

全国学力・学習状況調査では、教科の調査に加えて、児童生徒の学習意欲、学習方法、学習環境、生活状況などを把握するための質問調査が実施されており、8月3日(月)には様々なクロス分析など、さらなる詳細な分析結果が示される予定だ。

今後、各自治体で過去のデータと比較したり、該当学年がこれまで受けてきたその他のアセスメント結果とのクロス集計をしたりするなど、分析が進んでいくことだろう。重要なのは各自治体の目的に合わせて分析を行い、それを飯田市のように各学校や教師の授業改善につなげていくことだ。

参考:教員の指導意欲を高め、学力向上を実現するアセスメントデータの利活用支援『VIEW next』教育委員会版 2024年度 Vol.2 特集

参考:令和8年度全国学力・学習状況調査の結果公表のスケジュール
7月16日(木)結果公表①(正答率・IRTバンド分布などの全国平均)
8月3日(月)結果公表②(全国データに基づく分析結果)
9月以降(秋頃目処)結果公表③(都道府県・指定都市別データに基づく分析結果)
【出典】文部科学省・国立教育政策研究所 令和8年度(詰める)全国学力・学習状況調査の結果公表①のポイント

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