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Benesse Report データで教育を読む

第30回
子どもの生成AIの使用状況・意識と学習意欲との関係

2026/05/15 08:30

2022年のChatGPTの登場を機に、生成AIは急速に浸透した。日常生活に欠かせない存在となりつつある中で、子どもは生成AIをどのように使用しているのか。今回は生成AIの使用状況・意識と学習意欲についての調査結果から両者の関係をひも解いていく。

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出典

「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で立ち上げた「子どもの生活と学び」研究プロジェクトによる調査。小学1年生〜高校3年生までの親子約2万組を対象に2015 年から毎年実施。子どもの成長のプロセスとそれに影響を与える要因を明らかにしている。本報告は2025 年までの調査結果による。

◎詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。https://benesse.jp/berd/special/childedu/data/#oyako

データ解説

ベネッセ教育総合研究所 主任研究員
岡部悟志(おかべ・さとし)

本調査のほか、大学生を対象としたパネル調査(縦断調査)にもかかわる。子どもから大人への移行段階にある青年期の発達・成長プロセスに関心を持ち、研究を進めている。

1 学習における生成AIの使用率は、学齢が上がるにつれて増加傾向

学習での使用が多い中学生

2015年から毎年実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」では、2023年から生成AI(ChatGPTなど)の使用に関する項目を追加した。今回はその調査結果から、子どもの生成AIの使用の状況と意識について分析する。

まず、学校外の学習における生成AIの使用率は、今回の調査では小学4〜6年生は約10%、中学生は約30%、高校生は約60%近くに達した(図1)。ここ1〜2年間で使用率は急増しており、中高生の値は本調査を開始した2023年のその値の3倍を超えている。

図1 学校外の学習における生成AI(ChatGPTなど)の使用率の推移(2023~25年)

生成AIの使用場面については、小学4〜6年生では「学習以外(遊びなど)で使う」が多かったが、中学1年生と3年生では「学習で使う」が「学習以外(遊びなど)で使う」を上回った(図2)。その背景には発達段階がかかわっていると考えられる。生成AIは基本的には言葉による指示を入力し、その回答を主に言葉で受け取るツールだ。知らない言葉や分からない問題の解き方を尋ねて新しいことを知ったり、対話を通じて考えを深めたりすることが求められる。そのため、学習で抽象的な言葉の使用場面が増える中学校段階以上で、より実用的な学習ツールとして活用されているものと考えられる。

図2 学校外での場面別の生成AI(ChatGPTなど)の使用率(2025年)

一方、学校での生成AIの使用頻度を見ると、すべての学齢で「よくする」と答えた割合は10%にも満たず、「時々する」を合わせても中学3年生で25%だった(図3)。学齢とともに使用頻度は上昇傾向にあるものの、学校現場ではまだ生成AIの活用は進んでいないようだ。

図3 学校での生成AI(ChatGPTなど)の使用頻度(2025年)

2 「生成AIが進化すれば勉強する必要はない」と回答した子どもは20%強

生成AIに対する意識が学習意欲と関連

子どもが学習ツールとして活用し始めている生成AIは、子どもの学習意欲に何か関連しているのだろうか。「生成AIが進化すれば勉強する必要はない」という問いに肯定的な回答(「とてもそう思う」「まあそう思う」)をしたのは、どの学齢も20〜25%程度だった(図4)。

図4 「『生成AI(ChatGPTなど)が進化すれば勉強する必要はない』と思うか」への回答(2025年)

そこで、「生成AIが進化すれば勉強する必要はない」と回答したグループと、「生成AIが進化しても勉強する必要はある」と回答したグループに分け、学習意欲とのクロス分析を行った。すると、どの学齢においても、「生成AIが進化すれば勉強する必要はない」のグループは「勉強しようという気持ちがわかない」の肯定率(「とてもあてはまる」「まああてはまる」)が高かった(図5)。さらに、学習時間ともクロス分析を行ったところ、「生成AIが進化しても勉強する必要はある」のグループの方が学習時間が長いという結果が得られた(図6)。

図5 生成AI(ChatGPTなど)に対する意識と学習意欲の関係(2025年)

図6 生成AI(ChatGPTなど)に対する意識と学習時間の関係(2025年)

以上の結果から、生成AIに対する意識は学習意欲や学習時間に関連していることが分かった。生成AIは便利なツールだが、「それさえあれば勉強は不要」といった短絡的な思考に陥る危うさがある。まだ生成AIを使ったことがない子どもも含め、学校が主導して適切な活用方法を示すことが求められる。生成AIの特性を理解した上での使用や、回答を吟味する場の設定などとともに、活用の是非について子ども同士で議論することも有効だ。それらの取り組みは情報リテラシーを高めるだけでなく、生成AIへの安易な依存から脱却し、自律的な学習姿勢の育成にもつながるのではないだろうか。

『VIEW next』教育委員会版 2026年度 Vol.1
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