全国から集まった中高生が探究の成果を共有
世代を超えた学びが次の活動の力になる!
2026年3月22日、昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校を会場に、「ベネッセSTEAMフェスタ2026」が開催されました。15回目となる今回は、全国から16校62チームが参加。「アカデミック」「ソーシャルイノベーション」「メイカー」の3部門で、中高生が探究の成果を発表しました。各分野の専門家や企業人も加わり、世代や立場を超えた学び合いの場となりました。当日の様子を2回に分けてレポートします。
■開催概要
【日時】2026年3月22日(日)13時〜17時
【主催】株式会社ベネッセコーポレーション
【会場】昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校
【参加校・チーム数】中学校・高校16校62チーム
【エントリー部門】
・アカデミック部門:学術的な探究心をもとに進めた探究・研究活動を発表する部門
・ソーシャルイノベーション部門:身近な気づきや問題意識から行動し、自分や周囲にもたらした変化を発表する部門
・メイカー部門:「創りたい!」という想いを形にし、表現する部門
【社会人サポーター】社会人や大学・企業の専門家12名
【プログラム】
・開会式
・ポスターセッション
・ワークショップ
・ポスターの代表発表(4チーム)
・閉会式
中高生と社会人サポーターが世代を超えて学び合う
ベネッセSTEAMフェスタは、全国の中高生が探究・研究の成果を持ち寄り、学び合う場として2011年に始まりました。大学や企業の専門家も社会人サポーターとして参加し、世代を超えた対話を通して互いに高め合うことを大切にしてきた取り組みです。今年は、東京都世田谷区の昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校を会場に開催されました。
■開会式
開会にあたり、ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンターの小村俊平センター長があいさつに立ちました。小村センター長は「皆さんが取り組んできた活動を、ぜひ一生懸命伝えてください。そして、全国から集まった同世代の仲間や社会人サポーターから、様々なフィードバックを受けてほしいと思います」と呼びかけました。
続いて、研究者や教育者、ビジネスパーソンなど、多様なバックグラウンドを持つ社会人サポーター12人が紹介されました。社会人サポーターは、中高生の探究・研究に対してそれぞれの専門性を生かした助言を行います。
62チームがオリジナリティあふれるテーマでポスター発表を実施
■ポスターセッション
ポスターセッションは2回に分けて行われました。各教室にはポスターが掲示され、その前でチームのメンバーが発表する形式です。発表者以外の参加者や社会人サポーターは各教室を自由に回りながら、関心のあるテーマを選んで発表に耳を傾けました。発表者と見学者の間では質疑応答や意見交換が活発に行われ、会場全体に対話が広がっていました。
今回も、生命科学や物理といった理系分野から、司法・医療・福祉・まちづくりといった社会課題まで、テーマは幅広く展開されました。以下、3チームの発表を紹介します。
親が叱るとき、子どもが素直に受け入れるのはなぜか?
<アカデミック部門>
発表タイトル:親子間における”叱り言葉”の表現が受け手に与える影響と課題
チーム名:奈良女子大学附属中等教育学校 チーム島田
「チーム島田」は、「親が子どもを叱るときにどのような言葉を使うと、子どもに素直に受け入れてもらえるのか」をテーマに、アンケート調査とインタビュー調査を実施しました。アンケート調査では、親に叱られた内容を「約束」と「勉強」の2種類に分け、それぞれで受け入れられやすい叱り方に違いがあるのかを探りました。そしてインタビュー調査では、「何が素直に受け入れることを妨げているのか」を掘り下げました。
調査からは、子どもが親から叱られたことを素直に受け入れられるかどうかは、言葉の選び方そのものよりも、普段から話しやすい親子関係が築かれているかどうかに左右されていることが分かりました。チームはその結果を、「第一関門:叱られた内容以外の要素(イライラしているから言ってくる、嫌いだからなど)」「第二関門:叱られた内容を理解し、納得できるか」という2つの関門に整理しました。内容が正しくても、まず第一関門を越えられなければ言葉は届きにくいという結論は、多くの見学者の共感を集めていました。
見学者からは、「父親と母親で結果に違いはありましたか」といった質問が寄せられました。それに対してチームは、「父親からの叱りは、『言い返しても無駄だから』という理由で表面上は受け入れられている場合が多く、本当の意味で素直に受け入れているとは言えない傾向も見られた」と説明。「叱られたことを素直に受け入れる」という子どもの態度の背後にある、複雑な心理を分析していました。
SNSで「やりたいこと」を見つけ、進路の視野を広げる
<ソーシャルイノベーション部門>
発表タイトル:SNSで見つかる“やりたいこと”が自由な未来を作る
チーム名:豊島岡女子学園高等学校 LEAP
チーム「LEAP」は、「キャリア教育は、『知らないから選べなかった』『合わない進路を選ぶことになった』といったミスマッチが生じやすい」という問題意識から、「ユメステ」と名付けたSNS型プラットフォームを提案しました。生徒が関心のある社会課題や職業についてショート動画を制作・発信し、それを互いに視聴し合うことで刺激を受け、進路への視野を広げていくというプラットフォームです。動画投稿への参加意欲を高めるため、「動画の完成度」と「内容の興味深さ」を軸に、生徒間の相互評価と教師による評価を行い、さらに「いいね」の数や動画の再生回数を加味して優れた動画を選出する仕組みも設けました。
プラットフォームの有用性を検証するため、高校2年生5人を対象に2週間の試運用を行いました。5人にキャリアに関するアンケートを試行の事前・事後で行った結果、5項目中4項目で数値が向上しました。一方で、「自分で決めたい」という主体性の項目がわずかに低下していました。その結果について見学者から質問されると、チームは、「他者の動画を通じて、自分だけでなく他の人の情報も踏まえて判断したいという意識が生まれたからだと考えています」という分析を示しました。
今後の課題は、炎上リスクへの対応や動画の目的外利用の防止です。その対策として、動画テンプレートの整備や、教員・AIによるフィードバックの導入など、具体的な改善案を検討していると述べました。
自分で言語を作り、「羅生門」を翻訳する
<メイカー部門>
発表タイトル:自作言語で読む『羅生門』言語創造を通した文学表現
チーム名:昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校 ことばを作っている人
チーム「ことばを作っている人」は、「言語を作ってみたい」という純粋な興味を出発点に、独自の人工言語「ちこ語」の設計と、それを用いた芥川龍之介『羅生門』の翻訳に挑戦しました。「ちこ語」は、日本語と同じ膠着語として設計しており、主格・属格・与格・対格・造格といった格を語尾で表す、アスペクトや時制、名詞化も含めた体系的なルール化を設定するなど、言語設計の細部にまで一貫した思想が貫かれるようにしました。
『羅生門』の翻訳作業では、設定した単語では表現し切れない言葉が出てくるたびに新たな単語を設定するという工程を繰り返しました。単語の設定では、「名詞・形容詞の語尾は子音で終わらせる(母音で始まる格を接尾辞としてくっつけるため)」など、いくつかのルールを設け、言語としての一貫性を保つようにしました。完成した翻訳文の一部はポスターに掲載され、見慣れない文字列の中に確かな文法秩序が見て取れる翻訳となっていました。
見学者からは、言葉の設計のプロセスなどに関する質問が寄せられました。「この言語を学ぶことにどのようなよさがありますか」という質問に対しては、「学習の透明性が高いこと。文法やルールをすべて自分で設計しているので、なぜそうなるかを完全に説明できます」と、自分で設計した言語ならではの強みを端的に説明していました。
リアルな場だからこそ豊かな対話が生まれる
各教室のポスターセッションでは、発表者と見学者の間に自然と対話が生まれていました。社会人サポーターが自身の専門知識を基に発表者の問いを深めるだけでなく、他校の生徒も「どうしてこのテーマを思いついたのですか」「自分の研究でも同じようなことが起きたので、とても分かります!」などと、自身の興味や経験を重ねながら言葉を交わしていました。
発表者の多くは当初こそ緊張した様子でしたが、次々と寄せられるフィードバックや質問を受ける中で、新たな気づきや学びを得て、次第に対話へと引き込まれていきました。自分の中であいまいだった考えが言語化されたり、次の活動への方向が見えてきたりと、対話の積み重ねが探究を前に進めているように見えました。
(後編に続きます)
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ベネッセSTEAMフェスタ運営事務局










