個人の銀行預金を株式などに振り向ける「貯蓄から投資へ」の流れを加速させようと、政府や企業がお金に関する教育活動に力を入れている。幅広い層に金融の知識を普及させ、多様な資産形成の選択肢を持てるよう後押ししたい考えだ。

 2024年に官民が共同で設立した「金融経済教育推進機構(J―FLEC)」は、金融や経済に関する出張授業を無料で行っている。25年度は全国で5419回実施。小学生から定年退職者までの幅広い年齢層ごとに最低限身に付けるべき内容や、投資詐欺などの金融トラブル防止に役立つ知識を教えている。

 企業の取り組みも活発だ。人材派遣大手パーソルテンプスタッフ(東京)は7月、大和コネクト証券(同)と共同で、派遣社員とその子ども向けの金融経済教室を開催。東京証券取引所の見学や資産形成に関する講義を行い、22組が参加した。

 神奈川県在住の浜田嘉与さんは息子と参加。「好景気という雰囲気だが、実際は物価高でとても厳しい。自分で何かやらないと駄目だろうと思っている」という。パーソルの担当者は開催の狙いについて「自ら資産形成をするなど、多様な選択ができるような機会を提供したい」と話した。

 野村ホールディングス(HD)も7月、社員の小学生の子どもを対象に、外出が難しい障害がある人らを交えた金融教育のイベントを開いた。障害がある人は自宅からパソコンなどで遠隔操作できる小型ロボットを使い、子どもたちと一緒に株取引ゲームを楽しんだ。

 野村HDは、障害がある人やその家族がお金について学べる教材も開発する方針。中西康恵DEI推進部長は「心身に障害がある方は働く上で不安を持つことが多いと聞くが、資産形成の知識を通じて安心感を持ってもらいたい」と意義を語った。