
生徒たちと演劇を練習する放課後等デイサービス「放課後るび」の大平正寿代表(左上)=7月27日、神戸市中央区

公演のリハーサルをする「放課後るび」の子どもたち=2023年8月、神戸市中央区(大平正寿さん提供)
発達に特性のある子どもたちが通う放課後等デイサービス「放課後るび」(神戸市)は、全国でも珍しい演劇活動を取り入れている。即興劇の創作活動を通して自立を支援しており、代表者は「演じる中でコミュニケーションの成功体験を積んでほしい」と話す。
るびは2020年、代表の大平正寿さん(51)が立ち上げた。大学時代に演劇を始め、卒業後は、特別支援学校で演劇部の顧問を務めた。普段は真っすぐ立ったり、はっきり話したりすることが苦手な子どもたちが、舞台を経験した後は背筋を伸ばしてはっきり話すようになる姿を見て、「演劇に療育効果がある」と感じたという。
外部から観客を招く本公演を控えた7月下旬、るびでは児童・生徒9人が熱心に芝居の通し稽古に励んでいた。空港を舞台に、旅行好きの青年にトラブルが降りかかるというストーリー。せりふを忘れたり、機嫌を損ねたりする人がいても、互いに声を掛け合い、助け合っていた。
るびには現在、自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの特性があったり、不登校だったりする小学1年~高校3年の39人が通っている。公演は年3回あり、6チームに分かれ、全員が舞台に立つ。各チームは週1回、演劇の練習をしており、台本作りや演出、小道具の製作も自分たちで担っている。
るびに通う男子生徒(14)は「自由に好きなことをしてできあがる即興劇が楽しい。やめたくない」と満足げだ。不安を感じるとトイレにこもってアニメのキャラクターになりきり、独り言を言うことがあるが、母親(50)は「(ここでは)役になりきることが認められるので、自己肯定感につながっていると思う」と笑顔を見せる。
大阪大の伊藤寧美講師(現代演劇)は、台本があることで先の見通しが立ったり、自分ではない人になりきったりすることで、「会話が苦手な子どもでも、演劇の中では比較的コミュニケーションが取りやすくなるのでは」と説明する。
急に舞台に立てなくなったり、せりふを間違ったりしても「幕が上がって下りれば劇は成功なんです」と語る大平さん。「演じる中で会話やコミュニケーションの成功体験を積み、自信を持って人と関われるようになれればいい」と力を込めた。


