我が子は将来の目標や希望進路が定まっていないため、高校受験へのモチベーションがなかなか上がりません。中学3年生なのに、本人はまだ先のことだと捉えているようです。どうしたら本人のやる気に火をつけることができるでしょうか。

(質問者:北海道/中3女子・母 )

A興味・関心をベースに、進路を親子で考えてみる

モチベーションが上がらないのは、将来が漠然としていて、高校受験の意味が分からない状態だからだと思います。そうした状態には大きく2つのケースがあって、1つは、将来やりたいことの選択肢が複数あって絞り切れないケース。もう1つは、そもそもどのような選択肢があるのかも分からず、暗闇の中にいるケースです。今回のお子さんは後者のケースではないでしょうか。

その場合、現時点で子どもが興味・関心を持っていることをベースに、どんな学びや仕事につながりそうかを、対話を通して保護者が子どもに伝えましょう。自分の仕事だけでなく家族や知人などに頼むなどして、様々な大人の仕事をしている姿や生き様を子どもに見せながら、見たことから話を広げたり、深めたりするのが理想的です。難しい場合は、仕事図鑑のような書籍を買ってきて一緒に読んだり、様々な職業を紹介するテレビ番組を一緒に見たりしながら対話するのも一案です。親子で話し合い、子どもの興味・関心を深堀りした先に見えてきた進路は、必ずしも普通科の高校、知名度の高い大学に進むことではないかもしれません。しかし、有名大学の出身でなくても、世界に誇る技術力を持つ職人や技術者、例えばグローバルに活躍するネイリストやアーティスト、料理人などは数多くいます。もし、子どもが「自分は勉強が嫌いだから、入るのが難しい高校や大学には行かない」と言ったら、そうした進路を選ばない場合に考えられる職業や仕事の選択肢について、親子で話し合ってみましょう。子どもの知識は限られており、狭い世界の中で生きています。保護者の役割とは、子どもが本当にやりたいことを突き詰めるための壁打ちの相手役を、広い視野を持って務めることではないでしょうか。

もし、興味・関心のある進路が複数あって絞り切れない場合は、「一番ハードルが高い進路にチャレンジしてみたら?」と声をかけてみてください。人生100年時代、初めからやりたいことを絞り切る必要はないと思います。そして若い時にこそ、選択肢の中で最も狭き門からチャレンジすることをお勧めします。人は険しい道から易しい道に方向転換するのは容易でも、その反対は難しいからです。若いうちにどんどんチャレンジするよう、ぜひお子さんを後押ししてください。

大人でさえ、掲げる目標によって本気になれる時となれない時があるものです。勉強の「やる気」に火をつける前に、将来をいろいろと「考えてみる気」に火をつけることから始めましょう。