学びと経験や関心、意欲の関係については、これまで数多くの研究蓄積があります。哲学者・教育思想家のジョン・デューイは、教育と経験が密接に結び付くこと、中でも経験の質がその後の学びや成長に影響することを論じています。

ベネッセ教育総合研究所が東京大学と共同で実施した調査から中学生の1年間の経験を見ると、外の世界に触れる経験は増加傾向です。コロナ状況下の令和4年に落ち込んだ項目も令和7年には回復しました。

一方、内面的な成長や挑戦に関わる経験では、「夢中になって時間がたつのを忘れる」といった没頭経験、「難しいことができて自信がつく」といった達成経験が減少傾向です。「疑問に思ったことを自分で深く調べる」「無理だと思うようなことに挑戦する」は増加傾向ですが、3割以下にとどまりました。

子どもの経験の質を高めるには、各教科や総合的な学習の時間を生かし、生徒が問いを選び、調べ、発表する機会を取り入れることが考えられます。また、学校行事や委員会活動などの場を、没頭や挑戦につながる機会として生かすことも一案です。こうした身近な積み重ねが、子どもの経験の質を高めることにつながるのではないでしょうか。

(ベネッセ教育総合研究所 研究員 小川淳子)

出典)ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2025

「日本教育新聞」令和8年8月4日号より

※本記事は「日本教育新聞」の連載コーナー「データで見るこども 教員 保護者」の内容をウェブサイト向けに再編集したものです。データをもとにした様々な教育トピックに関する解説を、隔週でお送りいたします。

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