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新世代toi-time 第3回テーマ「『課題に立ち向かえ』と言いづらい時代における忍耐力の育て方」
「戦わない」ことも立派な選択の1つ――別の視点で課題を捉えることの意味
2026/02/10 11:00
C先生からの問い
生徒の忍耐力の育成について悩んでいます。トラブルの根本を解決するよりも、逃避することを選ぶ生徒が多い印象です。私としては「課題に立ち向かえ!」と思いつつも、教師からはそういったことを強く言えない現状もあり、生徒への声かけで迷う時が多々あります。先生方はそのことについてどのように感じますか。
コラム執筆者

広島県・私立如水館中学高校
田栗和馬(たぐり・かずま)
「忍耐」を問い直す
「忍耐」はいい言葉ですよね。なぜなら、耐え忍んだ先に、何かいい結果が待っていたり、努力が報われたりするような気がするからです。正直、忍耐の先が見えない中で耐え続けるのは、私には無理です。まず、私が忍耐強くこの問いを考えていくために、私が生徒への声がけを工夫するとしたら、という点で考えてみました。
「忍耐力」は、1つのトラブルに対して、逃げずに立ち向かい続けることで育成されるものだと思います。しかし、それがトラブルの根本の解決につながるかというと、そうではないような気がします。
逃避するように見える行動でも、その生徒にとっては「選択」なのかもしれません。つまり、戦わないことも戦術の1つであるということです。相手の力を見極めた上でほかの策を考えることは、その生徒にとってよりよい方向に進むと考えて決断した選択なのではないでしょうか。
「課題に立ち向かえ!」と強く言えない現状は確かにあると思います。しかし、そういったことを強く言えない時代だからこそ、先生が語気を強めて言うことに、重みが加わるのではないでしょうか。
教師の忍耐と、生徒の自己評価を生かす支援
耐え忍ぶ時には、我慢が必要です。忍耐力を育成するためには、先生自身も忍耐する必要があります。重要なのは、我慢することが苦手な生徒が出てきた時にどう対応するか、ではないでしょうか。生徒を取り巻く大人は、たくさんいると思いますが、その生徒が「単なる逃げ」によって課題から目を背けているのか、「別の視点」で課題を捉え直そうとしているのか、我々教師が忍耐強く生徒を見守り続けていないと気づけません。ただし、大人数の生徒に対してそのようなことをし続けるのは限界があります。そういう時に、生徒の自己評価が生かされます。生徒の受け止めを確認しながら、フィードバックを与えていくことで、生徒が向き合おうとするのを助けられるのではないでしょうか。
前向きな声かけと課題の再設定
強く言う言葉は、先生が本当に伝えたいことに使いたいですよね。一方で「課題に立ち向かえ!」という言葉は、本当に生徒に伝えたい言葉ではないような気がします。本当なら、「もっとやってみよう、どんどん進めてみよう」といった前向きな声かけがしたいはずです。そうした時、先生自身も設定した課題が適切だったかどうか、他の切り口があるのではないかと、新たな観点が生まれてくるのではないでしょうか。もう気づいていると思いますが、こういう行為は「逃避」ではありません。紛れもなく、「別の視点で」課題を捉え直そうとしている行為です。立ち向かうというのは、こういうことを含めてもよいのではないでしょうか。

