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新世代toi-time 第14回テーマ「生成AIとどう向き合うべきか」
問い「生成AIを活用して文章を書くとは何か」

2026/07/14 19:03

「ベネッセ解説」(2026年7月3日公開)に記された問い

 

理想を実現するために、教師は、学校は、生成AIとどう向き合うべきか。

 

コラム執筆者

市立札幌藻岩高校
對馬光揮(つしま・こうき)

コラム末で、筆者が日々の授業実践や学びの記録を発信するウェブサイトを紹介しています。

7月3日に公開された「ベネッセ解説」(VIEW next編集部 河野  仙一さん執筆)に紹介されていた読者の声の中で、「生徒が生成AIを利用して志望理由書を書くことで生じる問題」が生々しく綴られていました。

私も同じ悩みを抱えているので、そのコメントに非常に共感しました。
私は生成AIを活用して文章を書くことを否定しません。むしろ、0から1を作る時、2を5に引き上げる時、7を9まで磨く時など、場面に応じて積極的に生成AIを活用しますし、壁打ちの相手として生成AIを活用して文章を書くことを生徒にも推奨しています。
その上で、生成AIを活用して文章を書く際、私が生徒に伝えることは4つあります。

ある研究会で、作家の重松清さんのご講演を拝聴する機会があったのですが、氏はその時、「言葉は、思いに決して追いつけない」と仰っていました。言葉のプロである重松さんが、言葉の限界を強調されていたことが私の脳裏に焼きついています。
「思い」という形のないものを「言葉」という形のあるもので表現することには、一定の不具合が生じるはずで、どんなに言葉を尽くしたとしても、言い切れない部分が出てきてしまう、ということを仰っていました。
そして、次のような比喩をもとに、「『言いたいこと』と『言えたこと』はイコールにはならない」と仰っていました。

タンスは枠と引き出しの大きさが全く同じでも、大きく違っていても使えません。職人はその絶妙な加減を見極めます。思いと言葉の関係も同じで、思いを絶妙な言葉で表した時、そこに『感動』が生まれます。

生成AIを用いて文章を作成すると、書き手の思いよりも遥かに大きな言葉が出てくることがあります。それは先ほどの比喩を用いると、タンスの枠と引き出しが全く合っていない状態です。
講演会に参加したのは2022年の11月中旬のことでした。その2週間後にOpenAIからChatGPTが一般公開され、生成AIブームが巻き起こりました。それから4年近く経った今、改めて重松さんの言葉を見返してみると、様々なことを考えさせられます。

また、「文章を書く」ということについて、もう一つ私の記憶に深く残っている言葉があります。
それは、作家の町田康さんが、「よい文章はどうやって書けばいいですか?」と質問された時に答えた、「格好つけないこと」という言葉です。町田康さんは続けて、「格好つけることなく、『伝えよう』としている文章がよい文章です」と仰っていました。
生成AIの文章は綺麗にまとまっており、見方によっては「格好よい」ものかもしれませんが、町田康さんの言葉を踏まえれば、それは「よい文章」だとは言えません。なぜなら、書き手の「伝えよう」とする意志が不足しているからです。

最後に、前回のコラムでも取り上げた俵万智さんが詠んだ、短歌を一首ご紹介します。

言葉から言葉紡がずテーブルにアボカドの種芽吹くのを待つ (俵万智)

生成AIは「言葉」から「言葉」を紡いでいきます。そこに「思い」はどのくらい込められているのか。そのことを私たち利用者は考えなければいけない、と私は思っています。
このことは生成AIの利活用に限らず、口頭での発表やプレゼンをする際にもあてはまります。準備を怠り、その場で言葉から言葉を紡ぐ発表は、ともすると達者に見えるかもしれないですが、念入りに準備をしたうえで、拙くても自分の思いを伝えようとしている発表には決して敵いません。

以上のことから、お三方の言葉を踏まえて、生成AIを活用して文章を書く際、私が生徒に伝えていることは次の4点です。

①言葉は、思いに決して追いつけない。
②思いよりも大きな言葉は使わない。
③格好つけることなく、伝えようとすることを忘れない。
④言葉から言葉を紡がずに、思いから言葉を紡ぐ。

生成AIを使う時代だからこそ、大切なのは、どのような思いからその言葉を選んだのかを、自分の言葉で説明できることです。その力があれば、生成AIは文章を代わりに書く存在ではなく、自分の思いを磨くための強力なツールになり得ると、私は考えています。

次回は、「ハルシネーション(生成AIによる誤情報の出力)との向き合い方」について考えを述べます。

對馬が授業実践や学びの記録を発信しているウェブサイト:マナブベイ

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