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次代を担う全国の若手教師が集まり、語り合う「若手教師・教育創造MTG」第2期・2025年度・第1回、第2回オンラインミーティング・リポート
2026/01/14 12:00
2020年4月にスタートした「若手教師・教育創造MTG(ミーティング)」。全国から集った若手教師が自身の教育活動について報告したり、様々な教育課題について話し合ったりしているオンライン・コミュニティーだ。第2期3年目となる2025年度は、24年度に引き続き、メンバーの若手教師が、自分が持っている問題意識や興味・関心に基づいて取り組むテーマを設定し、グループや個人で活動する。どのようなテーマを設定し、どんなことに取り組もうとしているのか、今年度のこれまでのオンラインミーティングの様子とともにリポートする。
◎これまでの活動
第1回オンラインミーティング 2025年8月7日(木)16:00-18:00(Zoom開催)
第2回オンラインミーティング 2025年10月7日(火)17:00-19:00(Zoom開催)
各メンバーが問題意識や興味・関心を語り、
今年度取り組むテーマを設定
25年度の「若手教師・教育創造MTG」も24年度同様、各メンバーが自身の問題意識や興味・関心に基づいて取り組むテーマを設定し、それに試行錯誤しながら取り組むことを通じて、自分自身をバージョンアップさせることを今年度の活動方針とした。
<24年度のリポートはこちら>
・第1回、第2回オンラインミーティング・リポート
・第3回オンラインミーティング・リポート
・第4回オンラインミーティング・リポート
今年度の1回目のオンラインミーティング(8月7日実施)では、日頃の自身の問題意識や興味・関心についてメンバー間で語り合った上で、問題意識や興味・関心に共通点のあるメンバーと協働してテーマを設定して取り組むか、あるいは1人でテーマを設定して取り組み、その過程で必要に応じて他のメンバーと協働するかを決めた。そして、2回目のオンラインミーティング(10月7日実施)では、以下に紹介する4つのテーマがメンバーから発表された。
取り組むテーマ「教師のやり甲斐を若手教師の言葉で発信」
(メンバー:市立札幌藻岩高校・對馬<つしま>光揮先生、北海道・私立旭川明成高校・佐藤卓也先生、栃木県立足利清風高校・田島<たじま>祥行<よしゆき>先生、東京都・私立多摩大学附属聖ヶ丘中学高校・出岡<いずおか>由宇<ゆう>先生、広島県・私立如水館<じょすいかん>中学高校・田栗和馬先生、福岡県立筑紫丘高校・徳永拓也先生)
〈取り組みの概要〉
若手教師や教職を志す大学生から寄せられた「教育に関する問い」に現場のメンバーが回答し、それをコラム記事として『VIEW next ONLINE』で公開することを計画。教師という職業の魅力を、次代を担う若い世代、そして中堅・ベテランにも共有し、世代を超えて「教師のやり甲斐・生きがい」を循環させることを取り組みの目的とした。
既にメンバーの勤務校の若手教師、さらには教職を志す大学生から「進路指導のあり方」「主体的に学習に取り組む態度の見取り方」「宿題の意味」「課題に立ち向かう力、忍耐力の育て方」などに関する問いが寄せられており、メンバーで話し合いながら取り上げる問いを選び、それらに対する「答え」をコラム記事として執筆する。
記念すべき1回目に取り上げるのは、「『競争』の是非」に関する問いだ。近年、学校では、生徒間の「競争」を避ける傾向があるが、競争を経験することで生徒のモチベーションが上がったり、生徒が自分のあり方を見直したりするチャンスとなる側面もあるのではないかという同僚教師の疑問に、日々生徒と向き合っている現場の教師ならではの具体的なエピソードを交えながらメンバーが執筆したコラム記事を25年12月に公開した。
<「新世代toi-time」のwebページはこちら>
【若手教師・教育創造MTG】新世代toi-time
取り組むテーマ「これからの授業のあり方」
(メンバー:山形県立鶴岡中央高校・五十嵐<いがらし>雄大先生、山形県立山形北高校・柴田勝将先生、東京都立田柄高校・齋藤<さいとう>愛実<まなみ>先生)
〈取り組みの概要〉
近年、少子化などによって大学入試の競争が緩和し、「受験のため」という動機づけによる進路指導が生徒に通用しなくなってきている。さらに、コロナ禍以降はオンライン学習の普及によって生徒が自分に合った時間・場所・教材による学びを選択できる環境が整いつつある。学校の存在意義を問い直し、新たな価値を創出する必要があると考えた3人のメンバーが、これからの授業のあり方をデザインし、実践する。
想定しているのは、個別最適な学びと協働的な学びの両立を通じた自己調整力を育む授業や、大学入試にとどまらない、社会で生きて働く力を育む授業、そして生徒のみならず、教師の成長にも寄与する観点別学習状況の評価の実践などだ。また、学びの意欲につながるような生徒の「感じる力」を育むため、「感じる→考える→行動する→継続する」というサイクルを授業に構築し、それにふさわしい評価方法の研究も計画している。
取り組むテーマ「冒険する学校」
(メンバー:山口県立岩国総合高校・川端雄也先生)
〈取り組みの概要〉
これまでの教育実践を通じて、「生徒の主体的な学びをデザインすることで、みんなが幸せな社会をつくる」ことを目指してきたメンバーが、対象を生徒から学校全体へと広げ、一緒に働く教職員も幸せであるための学校づくり、教職員がワクワクしながら働ける職場づくりについて考える。東京大学大学院情報学環で特任助教を務める安斎勇樹氏の著書『冒険する組織のつくり方』(テオリア)『新・問いかけの作法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から着想を得た取り組みだ。
目指す最初のゴールは、生徒の好奇心を喚起し、ワクワクしながら生徒が学習に取り組める「冒険的な授業」を実現すること。従来の講義型の授業だけでは生徒がやらされ感を持つ場合があるため、生徒がより主体的に学べる環境をつくっていく。そしてその実践をモデルに、職員室や学校全体を「冒険的」に変えていくための具体的な提案ができる状態を目指していく考えだ。
取り組むテーマ「探究学習モデルの開発」
(メンバー:北海道釧路江南<こうなん>高校・小山<こやま>知倫<とものり>先生)
〈取り組みの概要〉
芸術科(音楽)の担当教師としての実践を通して、創作分野に苦手意識を持つ生徒、教師が多いという課題意識を持ったメンバーが、生徒の実態や教師の意識に大きく左右されない授業モデルの開発に取り組む。具体的には、「概念型探究」や「逆向き設計」の考え方を芸術科(音楽)の創作分野の授業デザインに応用して「探究学習モデル」を開発し、学習指導の改善・充実がどのように進むかを検証する。25年7月に「ジャズらしさってなんだろう」という問いを設定した題材では、学習したブルーノート・スケールなどの概念を生かして、音楽Webアプリケーションを活用してジャズのアドリブの旋律を創作し、各自の作品を持ち寄って交流する活動を行った。その結果、題材全体に対する生徒の振り返りにおいて、ジャズ音楽に関わる「興味・関心」「理解」の各項目に対して肯定的な回答が9割以上となった。生徒が「ジャズらしさ」を探究する過程で「永続的理解」を獲得し、音楽に親しむことができたとメンバーは手応えを感じている。
今後も様々な題材で実践を継続し、生徒の作品や取り組みの様子から、学習効果と課題を深く分析し、他校でも生徒の実態や教育環境に合わせて柔軟に実践することができる参考事例資料集の作成などを目指す。
今後、メンバーはそれぞれのテーマに取り組み、25年度中には、「若手教師・教育創造MTG」のメンバー全体で、取り組みを通じて得られた成果や気づきを共有する予定だ。次回はその様子をリポートする。

